小規模事業者持続化補助金(一般型)の申請方法とは?

小規模事業者持続化補助金(一般型)の申請方法とは?

このページでは、「小規模事業者持続化補助金」の申請を考えている方に向けて、1,000件以上の小規模事業者持続化補助金に関する経営計画書を見てきた筆者が、小規模事業者持続化補助金(一般型)とは何か?、その申請方法、経営計画書の書き方、採択率などをご紹介します。

なお、コロナ特別対応型については、こちらのページで詳しく紹介していますので、よろしかったらご覧ください。

注意
申請の際は、必ず公募要領に目を通した上で、商工会議所・商工会の指導を踏まえて各種書類の記述を行うようにして下さい。このページでは、極力皆様にとって有用な情報を提供しようと心掛けておりますが、採択をお約束するものではありません。

目次

小規模事業者持続化補助金とは何か?

小規模事業者持続化補助金は、「本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです」(公募要領より)とされています。

至極簡単に言えば、小規模事業者が売上を拡大するための販売促進費を支援するための補助金と言えます。

この補助金には、一般型コロナ特別対応型があります。表で簡単に比較してみます。

一般型 コロナ特別対応型
補助率 2/3

更に事業再開枠で定額50~100万円

2/3(A型・B型)または3/4(C類型)

更に事業再開枠で定額50~100万円

補助上限額 50万円(創業者は100万円)

+事業再開枠で最大100万円(定額)

100万円

+事業再開枠で最大100万円(定額)

受給時期 事業終了後の清算払い 事業終了後の清算払いだが、要件を満たせば概算払いによる即時支給(交付決定額の50%)あり

また、補助対象経費は2020年2月18日まで遡ることが可能

経費支出のタイミング 「補助金交付決定通知書」の受領後 特例として遡及適用あり。
補助対象事業
  • 販路開拓(+業務効率化)の取り組み
  • (上記に加えて)事業再開・感染防止の取り組み(コロナ対策)
  • 販路開拓の取り組み(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備何れかに1/6以上投資)
  • (上記に加えて)事業再開・感染防止の取り組み(コロナ対策)
公募時期 第1回:2020年3月31日(火)

第2回:2020年6月5日(金)

第3回:2020年10月2日(金)

第4回:2021年2月5日(金)

第5回:2021年6月4日(金)

第6回:2021年10月1日(金)

第7回:2022年2月4日(金)

第8回:2022年6月初旬頃

第9回:2022年10月初旬頃

第10回:2023年2月初旬頃【最終】

第1回:2020年5月15日(金)

第2回:2020年6月5日(金)

第3回:2020年8月7日(金)

第4回:2020年10月2日(金)

第5回(最終):2020年12月10日(木)

複数回の採択

(補助対象事業の違いが明確であれば可。ただし、同年度中の再申請は不可

不可

(1度のみ)

一般型の特徴を簡単にまとめると、

  1. 補助上限額は、50万円 (創業者は100万円)(+ 事業再開枠で最大100万円(定額))
  2. 補助率は、2/3(つまり、75万円の補助事業で50万円補助されるということ)。
  3. 補助対象事業は、販路開拓(+業務効率化)の取り組み
  4. 受給時期は、事業終了後の清算払い
  5. 「補助金交付決定通知書」を貰った後でないと補助対象経費の支出が認められない。

ということになります。

今後、小規模事業者持続化補助金どうなる?

現段階では、来年度以降この施策が実施されるかは不透明ですが、公募要領に「今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため」とあり、コロナウイルスによる影響も未だ甚大ですので、来年度以降も引き続き実施されることを期待したいと思います(中小企業庁の予算次第ですが)。

→現在公表されているだけでも、2023年2月まで継続されます。また、コロナ特別対応型に関しては、別途装いを変えて公募される見込みです。

補助対象となる経費とは?

補助対象経費は以下の2つに分けることができます。

  • 販路開拓等の取組(業務効率化の取組)
  • 事業再開枠

販路開拓等の取組(業務効率化の取組)の経費とは

販路開拓(業務効率化)の取組に関する経費としては以下が挙げられています。

補助対象経費
機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金、専門家旅費、設備処分費、委託費、外注費

乱暴に言うと、ホームページ作成から、チラシ、コンサル、店舗の看板まで販路拡大につながるものであれば広く補助します、ということです。

販路開拓の経費として具体的に挙げられているのは以下のようなものです。

  • 新商品を陳列するための棚の購入
  • 新たな販促用チラシの作成、送付
  • 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)
  • 新たな販促品の調達、配布
  • ネット販売システムの構築
  • 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
  • 新商品の開発
  • 新商品の開発にあたって必要な図書の購入
  • 新たな販促用チラシのポスティング
  • 国内外での商品PRイベントの実施
  • ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言
  • 新商品開発にともなう成分分析の依頼
  • 店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)

公募要領より

また、業務効率化(生産性向上)の取組も対象となります。

【「サービス提供等プロセスの改善」の取組事例イメージ】

  • 業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減
  • 従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装

【「IT利活用」の取組事例イメージ】

  • 新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する
  • 新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する
  • 新たに POS レジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する
  • 新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する

公募要領より

ただし、業務効率化(生産性向上)の取組は副次的なものですので、必須ではありません。販路開拓の取り組みだけで申請できますので無理に考える必要はありません。

逆に言えば、業務効率化(生産性向上)の取組だけでは採択されないと解するのが妥当です。従って、「ソフトウェアを導入することで業務が効率化され、その分多くの仕事を受けることができるようになり、機会損失がなくなり、売上が向上するので販路開拓にあたります」という理屈はまず通らないと思ってよいでしょう。

事業再開枠における経費とは

コロナ特別対応型だけでなく、一般型でもコロナ感染防止対策のための経費が補助されます。

補助対象経費
消毒費用、マスク費用、清掃費用、飛沫対策費用、換気費用、その他の衛生管理費用、PR費用

具体的な取り組み例として挙げられているのは以下の通りです。

  • 消毒設備(除菌剤の噴霧装置、オゾン発生装置、紫外線照射機等)の購入、消毒作業の外注、 消毒液・アルコール液の購入
  • マスク・ゴーグル・フェイスシールド・ヘアネットの購入
  • 清掃作業の外注、手袋・ゴミ袋・石けん・洗浄剤・漂白剤の購入
  • アクリル板・透明ビニールシート・防護スクリーン・フロアマーカー の購入、施工
  • 換気設備(換気扇、空気清浄機等)の購入、施工
  • クリーニングの外注、
  • クリーニングの外注、トイレ用ペーパータオル・使い捨てアメニティ用品の購入トイレ用ペーパータオル・使い捨てアメニティ用品の購入、従業、従業員指導等のための専門家活用、体温計・サーモカメラ・キーレスシステム・インターホン・員指導等のための専門家活用、体温計・サーモカメラ・キーレスシステム・インターホン・コイントレー・携帯型アルコール検知器の購入コイントレー・携帯型アルコール検知器の購入
  • ポスター、チラシの外注・印刷費(従業員又は顧客に感染防止を呼びかけるものに限る)

公募要領より

補助対象じゃないの?間違えて計上しやすい補助対象外の経費

一見販路開拓や業務効率化の取組に含まれるようでも、PCやWebカメラなど汎用性が高い経費については補助対象外です。

販売やレンタルを目的とした調達オークションによる購入文房具(CDメディアやSDカード等も)も補助対象外です。間違いやすいところなので気を付けて下さい。

また、割と勘違いしやすいところに、講習会・勉強会・セミナー研修等参加費というものもあります。事務所に来てもらうのは良いのですが、出向いて参加するのは補助対象外です。

なお、勿論のこと補助金のコンサル費用も補助されません。

これらは、公募要領に詳しく書かれています。記載がなく、自信が持てない場合は商工会議所にご確認下さい。

自分は補助対象にあたる?

まず小規模事業者であることが必要です。

小規模事業者とは、公募要領で以下のように定義されています。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
  • 製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下

なお、建設業や運送業等は「製造業その他」に当たるものとして考えます。

また、組織形態としては営利法人や一部の特定非営利法人個人事業主が対象となります。弁護士等でも対象となります。

一方、医師や一般社団法人、公益社団法人、宗教法人、学校法人等は対象とならないため注意が必要です。

創業間もない事業者は補助対象となるの?

申請時点で開業していない創業予定者は補助対象となりませんが、創業間もない小規模事業者は逆に手厚く補助されます

設立日や開業日(開業届による)が2020年1月1日以降である会社・個人事業主や、過去3年間に「特定創業支援等事業」による支援を受けた事業者の場合(証明が必要です)、補助上限額が100万円に拡充されます。

また、ジムやカラオケ、ライブハウス事業者などの「特例事業者」の場合は更に50万円が上乗せされ、補助上限額が150万円になります。

このように、補助対象となるだけではなく、更に手厚く補助されることになります。

とはいえ、創業者の場合、事業実態が固まっていないことから既存の事業者よりも経営計画書が書き辛いのは明白ですので、ややもすると採点は厳しくなる可能性があります。金額が拡充する分、気合を入れて計画書作りをする必要があります。

大会社の100%子会社は補助対象外

大会社とは会社法上、資本金が5億円以上の会社を指します。

小規模な中小企業であっても、こういった大会社の100%子会社となる会社は補助対象外です。

資本金1億円の会社(B社)の100%子会社であっても、B社が資本金5億円以上のA社の100%子会社という間接的なケースであっても補助対象外です。

恐らく、こういったケースがいくつかあったことから、補助外であることを明記することになったと推測されます。

やはり、形態上は中小企業とはいえ、実質的には大企業の一部門とみなすことのできる会社への補助は補助金の趣旨に反するということでしょう。

小規模事業者持続化補助金と持続化給付金との違いは?

名前が似ていてややこしいのですが、「持続化給付金」はあくまで給付金ということで、使用方法は問わず、コロナウイルスの影響が大きかった事業者であれば、お金をあげます、というものです。お見舞金みたいなものですね。

一方、「小規模事業者持続化補助金」は、補助金ですので、販路開拓という目的を何割かサポートするお金として出されるものです。ですから、「計画の通りに○○のような販路開拓を行いました!」という報告をしなければお金が貰えません。補助事業を開始するにあたっての資金は持ち出しとなります。お金がないから投資できないという場合は、金融機関から借りる必要があります(クラウドファンディングを使うのがいい!というコンサルも見受けられますが、取引のある金融機関から借りるのが一般的です)。

持続化給付金の要件に当てはまるのであれば、まずは持続化給付金を申請する方が資金繰り上は有利です。

申請から補助金を受けるまでの手続きとその流れ(商工会議所管轄内)

以下、申請から補助金を受けるまでの手続きとスケジュールをまとめました。

順番 手順 スケジュール
1 申請書類(様式1、2、3、5、7、8,9等)を作成。
2 貸借対照表および損益計算書、その他加点項目用書類(経営力向上計画の認定書等)を準備
3 所轄の商工会議所から、事業支援計画書(様式4)(事業承継加点を希望する場合は様式6も)に発行してもらう。 締め切り直前は込み合いますので、最低でも締切1週間前、できれば余裕を持って数週間前に依頼することをお勧めします。
4 申請書類一式を日本商工会議所に提出 当日消印有効
5 締切後、日本商工会議所において審査 概ね2カ月程度
6 採択者決定後、日本商工会議所から交付決定通知の発送 概ね1週間程度
7 交付決定通知を受領した後、補助事業を開始
8 補助事業の実施 概ね7ヶ月程度の期間
9 実績報告書、実際に経費を支出したことが分かる領収書等(証拠資料)の提出
10 補助金の受領

ポイントは、

  1. 交付決定通知を受領した後に補助事業開始となるため、採択が決定した後(申請書を提出してから約3カ月後)にようやく補助事業が開始できる
  2. 補助金の受領は実績報告の後となる

です。このように、補助事業の開始と補助金が受領できるタイミングは大きくズレていきますので、スピード感はあまりありません。この点では、コロナ対応特別型の方が優れています(コロナ対応特別型は終了)。

【忘れたら大変】実績報告書等の提出がないと補助金がもらえない

補助金を受け取るためには実績報告書の提出が必要です。採択されて補助事業に真面目に取り組んだとしても、この手続きを忘れると全てがパーになってしまいますので、注意して下さい。

5.補助金交付決定を受けても、定められた期日までに実績報告書等の提出がないと、補助金は受け取れません。補助金交付決定後、採択を受けた事業者に補助事業の実施を開始していただきます。補助事業の終了後は、補助事業で取り組んだ内容を報告する実績報告書および支出内容のわかる関係書類等を、定められた期日までに補助金事務局に提出しなければなりません。
もし、定められた期日までに、実績報告書等の提出が補助金事務局で確認できなかった場合には、補助金交付決定を受けていても、補助金を受け取れなくなりますので、必ず期日を守ってください。

公募要領より

実際に、コンサル先のお客様がこの補助金を申請した際には、実績報告書の提出をすっかりと忘れており、直前になってバタバタした記憶があります。その時は何とか間に合わせることができ、今となっては笑い話で済んでいますが、万が一受け取れなかった時は今までの苦労が水の泡となってしまいますので、スケジュール帖にしっかりとメモしておくことをお勧めします。

採択率はどれくらい?

中小企業庁のホームページには以下のように採択者数が公開されています。

令和元年度補正予算中小企業生産性革命推進事業として実施している「小規模事業者持続化補助金」の「一般型」について、令和2年3月10日から、6月5日(第2回締切)まで公募を行い、申請のあった19,154件について外部有識者による厳正な審査を行った結果、12,478件の採択事業者を決定しました。

中小企業庁HPより

このデータから採択率を計算すると、約65.1%となります。

この数値は概ね昨年度やそれ以前と同じような数値です。コロナ特別対応型の公募が開始された時期には約90%と、異常な数値を叩き出していましたが、もはやボーナス・ステージは過ぎたとみるのが妥当でしょう。

また、商工会か商工会議所何れの所轄かで採択率が異なる可能性や、首都圏とそれ以外では異なるという可能性も指摘されています。ここでは明かせませんが、実際に現場の人に話を聞いてみると、ある地域では平均の数分の一の採択率ということもあるようです。

何れにせよ、ちょっくら出してみようかで採択されることはないということです。しっかりと、誠心誠意経営計画書を作り上げる他ありません。

第3回目の採択率は?(追記)

第3回目については、

申請のあった13,642件について外部有識者による厳正な審査を行った結果、7,040件の採択事業者を決定しました。

とのことですので、採択率は51.6%となりました。

コロナ特別対応型へ申請者が流出したためか、申請者数は減少しています。一方で、採択者数が大幅に減ったため、採択率が低下しました。

コロナ特別対応型は既に終了しており、代わりとなる「低感染リスク型ビジネス枠」についても2021年1月7日に発令された緊急事態宣言の影響を受けたことが要件となっていますので、今後は一般型への申請が増加する可能性があります。

そのため、採択率は更に下がるのではないか?と思われます。

一般型とコロナ特別対応型どちらに申請すべき?

コロナ特別対応型と一般型は両方同時には利用できないとされています(どちらかの事業を廃止しないといけない)ので、どちらか一方を選ぶ必要があります。

お金の面からみるとやはりコロナ特別対応型が優れています。

  1. 補助上限額が100万円
  2. 50%の即時払いがあり、資金手当ての悩みが軽減されている。
  3. 一般型は清算払いだが、コロナ特別対応型は特例で遡及適用を受けられるので、既に支払ってしまった経費も補助される。スピード感を持って事業を行える。

このように、「今すぐに着手したいのに、できない」という一般型で不満の多い問題がコロナ特別対応型では軽減されています(そのため、悪質な詐取行為のリスクもある訳ですが)。

ですから、現在本当に困っている事業者の方はコロナ特別対応型を選ぶべきでしょう。

コロナ特別対応型の申請方法についてはこちら

ただし、コロナ禍でむしろ売上が伸びたという事業者や、創業したての事業者でコロナによる影響が不明確、「A型:サプライチェーンの毀損への対応」、「B型:非対面型ビジネスモデルへの転換 」、「C型:テレワーク環境の整備」に該当する取り組みは特に考えていないという事業者の方には一般型をお勧めしています。

どのように審査されるの?

加点審査がハードルになる

審査には、

  1. 基礎審査
  2. 加点審査

があります。「基礎審査」は所謂形式要件の審査ですから、抜け漏れなく資料を提出すれば落とされるようなことはありません。

問題は、加点審査です。

加点審査で審査されるのは、経営計画書と補助事業計画書ですが、「総合的な評価が高いものから順に採択を行います」と明示されており、相対評価であることが分かります。

また、地域により採択率に差があるようですので、恐らく地域ごとに予算枠(採択事業者数)が決められており、その中での相対評価になるものと思料されます。

つまり、枠に対して申請事業者数が多い地域は、非常に厳しい戦いになるということです。言ってしまえば、東京都の事業者は相当頑張らないと採択されないということです。

まずこのことは念頭に置いておいてください。

加点審査の審査項目は?

審査項目は秘密でも何でもなく、公募要領にきっちり記載されています。

①自社の経営状況分析の妥当性
・自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。

②経営方針・目標と今後のプランの適切性
・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
・経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。

③補助事業計画の有効性
・補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
・地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
・補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
・補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。

④積算の透明・適切性
・事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか。

難しく感じるでしょうか?

実はそれほど難しいものではありません。計画書としては以下のような流れ(ストーリー)で書けばよいというだけです。

弊社には○○のような事業を行っており、○○のような強みがあります。自社の強みと市場(商圏)の現状から今後の経営方針は○○で、目標としては○○です。この目標を達成するために、○○のような(補助)事業を行い、金額としては○○かかりますので、2/3を補助してください。

過年度の採択事業者は不利になる

今までは補助事業の内容が異なれば年度をまたいで何度でも申請・採択が可能で、書類を書くことが得意な事業者が毎年採択されるような状態でした。

しかし、遂に「過去の補助事業の実施回数に応じて段階的に減点調整を行います」と公式に表明されるようになり、今後は毎年採択されるというようなことは減ると思われます。

政策加点で点数を稼ぐことも有効

小規模事業者持続化補助金には、経営計画書の審査による採点だけでなく、政策加点の審査も行われます。

政策加点は以下の通りです。

  1. 賃上げ加点
  2. 事業承継加点
  3. 経営力向上計画加点
  4. 地域未来牽引企業等加点

この加点が何ポイントか?は公開されていませんが、政策加点は重複しても可なので、できるだけ加点を狙った方が良いと言えます。

特に、経営力向上計画は、殆どの事業者が申請できますし、他の補助金を申請する際にも加点がありますので、予め認定を受けておくことをお勧めします。

経営計画書・補助事業計画書の書き方

経営計画書は苦手に思う方も多くいると思います。

実際に書いてくださいと事業者の方に依頼すると、2~3行で終わりというケースも珍しくありません。

こういった書類作業は好き嫌いがあり、日ごろ書類作業を仕事としていない人も多いので、これは無理からぬことです。

とはいえ、経営計画書はそれほど難しいものではなく、事業者の方が自分で一生懸命書いたものであれば、採択される可能性は十分にあります。

幸いなことに、中小企業庁の公式サイト「ミラサポplus」では、持続化補助金「経営計画・補助事業計画」の書き方というというページが公開されており、そこでは経営計画書、補助事業計画書に書くべき項目がしっかりと網羅されています。これに沿って書けばほぼ問題なく書くことができるはずです。

経費明細表の書き方

評価項目に「積算の透明・適切性」と明示されており、誤解も多そうですので経費明細表について書きます。

相場にのっとって、細かく正確に積算する

ここに書く経費は概算(予算)であり、補助事業終了後に清算という形を取りますが、だからと言って、過度に大きな数値を書いて予算を確保すればよいという訳ではありません。

「幅が広がるので、多めに見積もった方が良い」と言う怪しいコンサルがいるお陰か、補助金額の上限50万円から逆算して75万円と計上する人が出てくるのですが、恐らく厳しい評価を突き付けられると思います。

予めの見積書の添付は要求されていませんが、実際に業者にコンタクトを取るなどして、適正な相場価格を調べた上で積算するようにして下さい。

また、ざっくりと「一式」という形で書くこともお勧めしません。「内容・必要理由」という欄がありますので、しっかりと細目まで書き込む方が良いでしょう

同様に、「経費内訳」もそうです。「(単価×回数)」と書かれているように、チラシにせよインターネット広告にせよ、単価と回数が明確に分かるのですから、しっかりと分けて書くようにすることが望ましいと言えます

消費税抜き?込み?

補助金は売上に計上されませんが、支出する際は課税仕入れになるため、還付金が発生してしまいます。この際、補助金が税込であると、儲かってしまいますので、以下の事業者のみ「税込」で経費計上ができるとされています。

  1. 消費税法における納税義務者とならない補助事業者
  2. 免税事業者である補助事業者
  3. 簡易課税事業者である補助事業者

つまり、課税売上高が1,000万円以下の事業者、課税売上高が5,000万円以下で簡易課税制度適用事業者であれば、税込でOKということになりますので、多くの小規模事業者は税込で問題ないことになります。

なお、複数事業者による共同申請の場合には、「税抜」として書くことが必要です。

更に、課税事業者の場合はあくまで税抜となりますので、変なところで物言いがつかないように税抜として書くようにして下さい。

様式3と様式5に税込・税抜を記載する欄がありますので、帳尻を合わせて書いてください。

参考

小規模事業者持続化補助金(日本商工会議所)公式サイト