中小事業者の販路拡大・生産性向上のための補助金として「小規模事業者持続化補助金」(以下、一般型)は大変多く活用されている補助金ですが、コロナ禍に影響を受けた事業者向けに「小規模事業者持続化補助金 コロナ特別対応型」(以下、コロナ特別対応型)が新たに公募されています。
このコロナ特別対応型ですが、A型:サプライチェーンの毀損への対応、B型:非対面型ビジネスモデルへの転換、C型:テレワーク環境の整備、感染拡大防止の取組に対する1/6以上の投資について補助金が貰えるというもので、補助率は2/3又は3/4、上限100万円となっており、更に感染拡大防止の取組をすると上限50万円の上乗せ、また特定の業種がクラスター対策などをする場合は更に上限50万円の上乗せとなります。
このようにコロナ禍で影響を受けた事業者の方にとっては非常にありがたい補助金で、採択率も非常に高くなっているものの、やはり財源は税金であることから、「とりあえず申請してみよう!」という勢いで殴り書きして申請するようだと不採択となる可能性が高いと言えます。
これは形式審査だけの諸給付金と違い、経営計画書の審査があるという点がハードルとなっているからです。
このページでは「小規模事業者持続化補助金 コロナ特別対応型」について、筆者が小規模事業者持続化補助金に関する多くの支援を通じて得た知見を元に、審査の観点や経営計画書の書き方をみていきたいと思います。
目次
一般型とコロナ特別対応型の違い(比較)
コロナ特別対応型を理解するために、制度の原型となっている一般型との比較をしてみたいと思います。
一般型 | コロナ特別対応型 | |
補助率 | 2/3
更に事業再開枠で定額50~100万円 |
2/3(A型・B型)または3/4(C類型)
更に事業再開枠で定額50~100万円 |
補助上限額 | 50万円
+事業再開枠で最大100万円(定額) |
100万円
+事業再開枠で最大100万円(定額) |
受給時期 | 事業終了後の清算払い | 事業終了後の清算払いだが、要件を満たせば概算払いによる即時支給(交付決定額の50%)あり
また、補助対象経費は2020年2月18日まで遡ることが可能 |
補助対象事業 |
|
|
公募時期 | 第1回: 第2回: 第3回: 第4回: 第5回:2021年6月4日(金) 第6回:2021年10月1日(金) 第7回:2022年2月4日(金) 第8回:未定 |
第1回: 第2回: 第3回: 第4回: 第5回(最終): |
複数回の採択 | 可
(補助対象事業の違いが明確であれば可。ただし、同年度中の再申請は不可) |
不可
(1度のみ) |
このようにコロナ特別対応型は、補助対象事業がサプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備の何れか1つに該当することが必要なことに加え(販路開拓の経費のうち1/6以上がいずれかに該当していればOK)、補助の上限が100万円(+事業再開枠で最大100万円)であることが大きな特徴です。
また、コロナによる影響を乗り越えるという点に重点が置かれており、経費の概算払いや遡及計上が認められている点が大きく異なります。公募のインターバルも短くなっています。
どんな経費が補助されるの?
補助対象経費は、
- 販路開拓等の取組
- 事業再開枠
で異なります。
販路開拓等の取組に関する経費
補助対象経費は以下の全てを満たすものでなければなりません。
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 原則、 交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費(ただし、特例として2020年2月18日以降に発生した経費の遡及計上も可)
- 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
内容は以下の通りです。詳細は公募要領に掲載されていますのでご確認下さい。
事業再開枠における経費
補助対象経費は以下の全てを満たすものでなければなりません。
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 2020年5月14日以降に発生し対象期間中に支払、使用等が完了した経費
- 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
内容は以下の通りです。詳細は公募要領に掲載されていますのでご確認下さい。
採択率が急激に低下した
中小企業庁によると第3回(10月2日)締切分の採択率は33.9%と非常に厳しくなりました。
推移をみると、
採択率 | |
5月15日(第1回締切)分 | 81.6%(5,503件/6,744件) |
6月5日(第2回締切)分 | 81.3%(19,833件/24,380件) |
10月2日(第3回締切)分 | 33.9%(12,664件/37,302件) |
第3回締切分で50%近く採択率が低下したことが分かります。
第3回では、申請者数が大幅に増加した一方で、採択件数が大幅に低下したことがその要因となっています。
申請者数の増加は傾向としては予想できますが、採択件数は予想を上回る減少となりました。
この原因は何でしょうか?ざっと挙げると次のようになると思います。
- 第4回公募を追加したため、予算が少なくなった。
- 評価基準が変更され、ABC型に該当しているかがより厳しくチェックされるようになり、該当しないと判断されると「足切り」されるようになった。
給付金や補助金の不正が多く報じられていますので、より厳格化の方向性にいく方向性なのかもしれませんね。
もはや、商工会議所や専門家のサポートを得ずに、独力で申請するのは難しい状況と言えるでしょう。
審査は厳しい?審査の観点は?
上記のように採択率が33.9%になってしまいましたので、細心の注意を払って経営計画書と補助事業計画書を書く必要があります。
では経営計画書と補助事業計画書はどのように審査されるのでしょうか。
まず審査の観点ですが、公募要領には以下のように書かれています。
審査の観点
Ⅰ.基礎審査
次の要件を全て満たすものであること。要件を満たさない場合には、その提案は失格とし、
その後の審査を行いません。
①必要な提出資料がすべて提出されていること
②「2.補助対象者」(P.27~31)・「3.補助対象事業」(P.31~33)の要件に合致すること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であることⅡ.加点審査
提出された経営計画書に基づき「新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り
越えるための取組として適切な取組であるか」、「『サプライチェーンの毀損への対応』、『非対面型ビジネスモデルへの転換』、『テレワーク環境の整備』のいずれか一つ以上に関する取組を行う事業計画になっているか」について、専門家による審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。
ここから分かる・読み取れる審査のポイントのは以下の点です。
- 基礎審査と加点審査がある
- 加点審査というのは経営計画書の審査を示しており、この審査では専門家が当該計画書に点数をつけ、点数が高い順から採択される。つまり相対評価であり、予算による順位のボーダーラインがある(足切りされる)。
- 経営計画書では、「新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響」が確認できないといけない
- 「適切な取組」(テンプレートのコピペではなく、業種や自社の経営状況に合った取り組み)がないといけない。
- 「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」、「テレワーク環境の整備」の何れかに(1/6以上は)該当しないといけない。
では、「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」、「テレワーク環境の整備」とは何かというと、これも公募要領に書かれていますので、引用します。
A:サプライチェーンの毀損への対応 | 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発 |
B:非対面型ビジネスモデルへの転換 | 非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資 |
C:テレワーク環境の整備 | 従業員等がテレワークを実践できるような環境を整備すること |
なお、「C:テレワーク」で気を付けたいのが、タブレットやPCなど汎用性の高い投資は補助対象外ということです。従って、タブレットやPCを調達したい事業者の方は、県や市などの自治体が独自で行っている助成制度を活用することをお勧めします。例えば、東京や埼玉では、タブレットやPCも補助の対象となる助成金があります。
また、「従業員等」となっていますが、社員やパート社員などにテレワークをさせることが前提のようです。フリーランス(個人事業主)にテレワークさせる場合(IT系やコンサル系ではよくある形態ですが)や、リモート営業用のツールが補助対象に該当するかは事前に商工会議所・商工会を通じて確認するようにして下さい。
一般型とコロナ特別対応型どちらがいい?
一般型についても事業再開枠というものがあり、金額としては総額で最大150万円(50万円+事業再開枠100万円)の補助を受けられる可能性があります。
ただし、一般型とコロナ特別対応型両方を申請することはできませんので、どちらかを状況に応じて選ぶ必要があります。
予め結論から言うとやはりコロナ特別対応型を最初に検討すべきと思われます。
金額の面はさておき、一般型は清算払いということもあり、投資のための資金手当てが別途必要になるからです。資金繰りと言う面では、概算払いや遡及計上が可能なコロナ特別対応型が圧倒的に優れています。
緊急性が高い場合はコロナ特別対応型
コロナ特別対応型は、約2ヵ月おきに公募される予定になっており、喫緊のコロナ対応ニーズに合致しています。
また、コロナ特別対応型では特例として2020年2月18日以降に発生した経費まで遡って補助対象経費として認められます。また、概算払いという制度もあり、採択後に即時支給(交付決定額の50%)も認められています(ただし、売上が前年同月比20%以上減少している事業者が対象)。
コロナ対応をしないと営業が再開できないような緊急性の高い状況に置かれた事業者に場合は、コロナ特別対応型一択となるでしょう。
コロナ特別対応型に該当しないケースがある?
基本的にコロナ特別対応型は、取り組み内容が「A型:サプライチェーンの毀損への対応」、「B型:非対面型ビジネスモデルへの転換」、「C型:テレワーク環境の整備」に当たる必要があります。
しかし、経費の計上においては、1/6以上がいずれかに該当していればOKとされていることから、そこまで厳密ではないように思われます。
これはできるだけ多くの事業者にスピーディに必要な資金が行き渡るようにする意図があるということだと思います(ただし、今後どうなるかは分かりません)。
一方、一般型は販路開拓(+業務効率化)の広い範囲が対象となり、コロナ特別対応のような制限がありません。また、感染拡大防止の取組(事業再開枠)がコロナ特別対応型と同額補助されますので、一般型で申請するメリットも大いにあると言えます。
採択率から見てどちらが良い?
一般型の採択率は、第2回締切分で65.1%となっています。総申請件数19,154件中のうち12,478件が採択されました。
第1回締切分は驚異の90.8%でしたので、一気に低下したと言えます。
今後、申請者がコロナ特別対応型から一般型に流れていく可能性がありますので、コロナ特別対応型と同じレベルとは言いませんが、更に低下する可能性は十分にあります(第3回締切分が出ていませんので、なんとも言えないのですが)。
採択率という観点ではどちらが良いと言えず、コロナ特別対応型、一般型共に厳しいことには変わりないと思われます。
従って、やはり上記ABC型に該当するか否かで選ぶことをお勧めします。
一般型はより細かい審査項目がある
一般型の審査基準はそれなりに厳しいものとなっています。
公募要領にて公開されている審査基準は一般的な形式基準に加えて以下の通りです。
①自社の経営状況分析の妥当性 | 自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。 |
②経営方針・目標と今後のプランの適切性 | 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。 |
経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。 | |
③補助事業計画の有効性 | 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。 |
地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。 | |
補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。 | |
補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。 | |
④積算の透明・適切性 | 事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか。 |
このように、コロナ特別対応型よりもやや項目が厳格となっています(公開されている情報に基づく限りですが)。従って、求められる経営計画書の分量もそれなりに多くなると言えます。この点、自分で計画書を書こうとしている事業者にとってはコロナ特別対応型の方がとっつきやすいかもしれません。
一方で、事業承継などの政策加点項目も多く、経営計画書の審査で点数が低くても加点項目で救われるケースがあるようです(そうでなければ、採択率が9割とはならないでしょう)。ですから、自分で頑張って経営計画書を書けば採択される可能性は十分にあると思われます。
経営計画書の書き方
事業者が最も苦労するものは専門家に審査される「経営計画書」だと思われます。
経営計画書は基本的に自分で書かないといけませんし、商工会や商工会議所の経営指導員が代書や事細かに修正することを期待するのは数が多すぎて無理だと思います。
(繰り返しになりますが)自分で頑張って書けばそれなりの確率で採択されますので、このページでは自分で書く際に参考にできるよう、コロナ特別対応型の経営計画書についてサンプルから読み取れるポイントを中心に書いてきたいと思います。
まず、様式の構成としては以下の項目となります。
- 新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために1/6以上投資する類型(該当する類型を、一つ以上選択)
- 事業概要
- 新型コロナウイルス感染症による影響
- 今回の申請計画で取り組む事業名
- 今回の申請計画で取り組む内容
- 新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果
以下、それぞれの項目ごとにポイントをお話していきます。
必要なのは経営計画書に筋が通っていること
項目ごと・・・と書きましたが、まずは全体的な計画書の考え方についてお話をします。
なぜならば、ここが良い計画書と悪い計画書で最も大きく違いが出る点だからです。
この違いを端的に言うと、良い経営計画はストーリー構成がしっかりとしていますが、悪い計画書はストーリー構成が杜撰ということです。
なぜしっかりとしたストーリー構成が必要かというと、いうまでもなく読み手がいるからです。
融資に際しては担当者が稟議を上げられるような経営計画書を事業者側で用意することが重要なことは知られていますが、当補助金に関しても同様に審査する側が納得して良い点数をつけられることが望ましいことは言うまでもありません。
やはり読み手が一読してスッと腹落ちするような話の筋が必要なのですね。
こう言われても抽象的で良く分からないと言う方がいるかもしれませんが、難しいことではありません。
「当社は○○という強みがあり市場動向は○○でしたが、コロナによる○○という影響があったため、今後は○○をしようと思っています。具体的には○○です。そのために○○に○○円を投資します。」という形に筋が通っていれば良いのですね。
しかし悪い経営計画書ではこのような簡単な話ができていません。
「コロナで影響受けたんで苦しいです。○○を買いますので金下さい。」となっているのが常です。
なぜこのようなことになるかと言うと、(蛇足かもしれませんが)以下のような背景があるからでしょう。
- 「お金貰えそうだからとりあえず出してみよう」という思惑
- 「丁度○○を買おうと思ってたんだけど、補助金でなんとかならないか」という思惑
- うちの商品・サービスを買ってもらえるなら代書しますよという業者や、手数料狙いでコピペの計画書を量産する会計事務所の存在
勿論、全てが全てではないと思いますが、概ねこれに当てはまるように思います。
そして、これが結果的に
- 補助申請金額はとりあえず上限ギリギリ(できるだけ多く)出されている。
- 買いたい商品・サービスは決まっており、辻褄を合わせるように書かれている。
- 経営分析がされておらず、市場動向や自社の強みなどが書かれていない。方針もない。
というようなことになるようです。
これでは不採択になっても当然です。
このようにならないためには、まずはコロナを契機に自分の事業に改めて向き合うことが重要です。
コロナを機に新たな事業形態の構築を進めている事業者は、既にしっかりとした経営状況の認識や方針があるので計画書を書くにあたって小難しく考えずとも筆は進みます。
まずは、公募要領にある以下のような記述の通り、中・長期的な視点も交えながら経営の状況を見つめ直すことが重要です。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者自らが自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援するものです。
事業概要の書き方
ではここから各項目ごとにみてきたいと思います。
1の「新型コロナウイルスの影響を乗り越えるための投資の類型」については飛ばして、2の事業概要からいきます。
「事業概要」で求められているのは、以下の通りです。
- これまでの事業の経緯
- 現在の事業概要(商品・サービスの内容、場所、従業員数)
- 売上・粗利益構成比(商品別、サービス別等セグメント別)
- 事業の特徴
- 自社の強み
このように整理してみると思ったより色々書けると思います。
重要なことは、御社を全く知らない人に事業を説明する際に、簡潔に分かってもらえるためにはどうするか?ということです。読み手がパッと読んでどのような事業をしているのかを簡単に掴めることが重要です。
特に、自社の強みは非常に重要な項目となります。強みがないと理屈の上では経営方針が作れなくなります。経営方針は「強み×事業機会」と定義できるからです。うちには強みなんてない!と思う方もいると思いますが、少なくても現状で生き残っている以上人・モノ・カネ・ノウハウ・・・の中に何かしらあるはずですので、兎に角絞り出すことが重要です。
そして、
- 顧客ニーズ、市場動向
です。お客様の声や、顧客動向、業種の統計データなどから掴みます。やはり統計データがあると信頼性は高くなりますね。
なお、ここまでは突発的な出来事であるコロナについて書く必要はなく、従来からある自社の強みや顧客ニーズ・市場動向を洗い出していくという作業(経営分析)になります。
これを行った後、コロナの影響を踏まえて今後の経営方針を立てることになります。
- (コロナの影響を踏まえた)経営方針
一般的に戦略を立てる際は「自社の強み」を「顧客ニーズ・市場動向(機会)」に投入すると考えるのですが、当経営計画書ではコロナを踏まえて「自社の強み×顧客ニーズ・市場動向×コロナの影響」という形で経営方針を書くという形になります。
新型コロナウイルス感染症による影響の書き方
3の「新型コロナウイルス感染症による影響」ですが、上記のコロナの影響を裏付ける、エビデンスとなる記述が必要です。
エビデンスで求められるのは真実性や正確性ですから、収益に関する数値的な影響を書くことが重要となります。
一方、収益として現れた数字は結果ですから、その原因となった事由を定性的に書く必要があります。
そして、それは「1.新型コロナウイルスの影響を乗り越えるための投資の類型」と整合性が取れるはずです。
例えば、「仕入れ先の中国工場から入荷がされず、販売できなかったことで収益が悪化した」ということであれば、A:サプライチェーンの毀損への対応となりますし、
「緊急事態宣言による営業自粛で対面による営業ができず収益が悪化した」ということであれば、B:非対面型ビジネスモデルへの転換となり、
同様に「緊急事態宣言により社員が出勤できず仕事が滞っている」のであれば、C:テレワーク環境の整備という話になります。
今回の申請計画で取り組む内容の書き方
4の「今回の申請計画で取り組む内容」ですが、
- 事業名
- 計画内容
を書きます。事業名は採択者の一覧で公表されますので、恥ずかしくないものであれば大丈夫です。できれば、パッと見て計画書の内容が分かるようなものが望ましいと言えます。
計画内容としては、上記の「(コロナの影響を踏まえた)経営方針」の具体的な内容を書くことになります。基本的には販路開拓等の取組ですので、マーケティングの4Pなどを踏まえた具体的な記述が望ましいと言えます。
4Pとは、商品、値段、チャネル、販売促進方法であり、これらを成立させるために補助金による投資が必要となりる訳ですね。
そして、「新型コロナウイルスの影響を乗り越えるための投資の類型」との関連性がここでも問われます。サンプルでは分かりやすくECサイトを立てる→「B:非対面型ビジネスモデルへの転換」となっていますが、このように関連性が明確であることが望ましいと言えます。
新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果の書き方
5の「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果」ですが、これは効果がないものに対して補助金出してどうすんの?という理由から設けられていると推測されます。
基本的には販路開拓=売上高の向上と考えられますから、投資によって売上高がどれだけ向上するかを数値的に予測してあげればよいことになります。
その際は、単純に「100万円増加!」のように書くのではなく、もう少し細分化して現実味を持って書くことが肝要です。サンプルでは売上高=単価×数量となっていますが、少なくてもこのレベル位には細分化できないと良い点は貰えないでしょう。
支出経費の明細等の書き方
経費の明細ですが、補助対象経費の1/6以上が、「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」、「テレワーク環境の整備」に関する投資となっていなければいけません。逆に言えば、5/6は新たな販路開拓の経費であれば上記3つ以外に関するものでなくても計上しても構わないということです。
経費として計上できる項目は公募要領にまとめられていますので確認するようにして下さい。分からない場合は商工会議所・商工会に問い合わせれば大丈夫です。
また、本補助金では申請にあたっての見積書の添付は義務付けられていません※。ですから、基本的には概算として経費計上をすることになりますが、仮に経費の配分を変更しようとする場合は、「変更承認申請書」の提出と承認が必要となります。あくまでも申請の時点では予算の計上であり、最終的には実績報告時の金額に対しての補助となることを覚えておいて下さい。
- 中古品購入の場合は、金額に関わらず2社以上の中古品販売事業者から相見積もり(個人からの購入やオークションは不可)が必要。
- 新品購入の場合、単価100万円(税込)超の場合に相見積もりが必要。
- 委託の場合、金額100万円(税込)超の場合に相見積もりが必要。ただし、困難な場合は合は、随意契約をした理由書が必要。
なお、(当然のことですが)実績報告の際は、経費の支出内容のわかる関係書類等を出す必要があります。
なお、補助事業実施後は実績報告書と支出に関する書類を提出する必要があります。この際、申請時に計上していないものが含まれていた場合は、その分の補助金は貰えなくなりますので、注意が必要です。
申請の流れ
まずは、
https://r2.jizokukahojokin.info/corona/
にアクセスして、「経営計画書」様式2をダウンロードし、作成してください。
その後に地域の商工会議所に提出し、「支援機関確認書」を貰うようにして下さい。基本的に非会員であっても確認書を貰うことはできますので、心配しなくても大丈夫です。
※この手続きは第3回から任意となりました。つまり、商工会議所のチェックを受けずとも書類の提出が可能になったということです。
とはいえ、商工会議所にコンタクトを取ることで専門家によるアドバイスも受けることも可能になりますので、スケジュールに余裕を持って問い合わせてみるのが良いでしょう。
また、6月下旬より補助金申請システム(Jグランツ)が使用できるようになるようです。郵送は意外と不便ですので、朗報です。