銀行は創業融資をやりたい?やりたくない?

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今回は、銀行は創業融資をやりたい?やりたくない?をテーマに解説していきます。

結論から言うと、創業融資は銀行にとって「美味しい」融資です。

その理由は以下の3つです。

  1. 銀行の使命を果たせるから
  2. 使命を果たしたと監督官庁にアピールできるから
  3. メインバンクになれるから

目次

銀行の使命を果たせるから

 新規事業創出や地域経済発展に寄与することが、銀行にとって大きな使命の1つです。

したがって、創業融資に取り組むことはその使命を果たす重要な仕事だと、銀行は本気で考えています。

当行は、地域金融機関として「金融サービスの提供をつうじて、地域のお客さまのニーズにお応えし、地域の発展に 貢献する」という役割・使命を果たす姿勢を堅持しています。

そこで、創業者への公的支援と連携しながら信用保証協会保証付き創業融資や、銀行独自の創業資金融資やその他サポート策を打ち出して積極的に支援しているのです。

また、本気で取り組んでいると書いたとおりですが、同時に取り組んでいると監督官庁にアピールもできるのでより積極的に、というより「積極的に取り組んでいることを積極的にアピール」しています。

使命を果たしたと監督官庁にアピールできるから

上記の通り、創業融資に積極的に取り組む姿勢を、監督官庁である金融庁などにアピールできるので、積極的に取り組んでいるとも言えます。

現在、銀行の企業理念や経営方針には必ずと言って良いほど

  • 地方創生
  • 地域密着型金融
  • 地域経済発展

といったキーワードが盛り込まれています。

これは、国の施策だからであり、国の施策を愚直に推し進めていますよ、と金融機関がアピールする絶好の機会として創業融資を捉えていることになります。

 

またこれは逆に考えると、地方創生、創業融資に積極的でない銀行は国の施策に準じていないと指弾される恐れもあると言うことで、金融機関は真剣に取り組まざるを得ないとも言えます。

 

例えば金融庁により、金融機関に定期的な報告を求め、取り組み状況を調査しています。

これらは「モニタリング」と呼ばれ、要は金融庁が金融機関をモニタリング(直訳すると「監視」)していることになります。

さすがにできていない銀行を名指しで責め立てるようなことはしません。逆によくできている銀行の例をお手本として載せるのですが、例えばメガなどでは、自行がお手本から漏れると、遠回しに「オタクはできていない」と言われていると戦々恐々とするのがモニタリングです。

金融庁は、地方銀行が、地域企業の真の経営課題を的確に把握し、その解決に資する方策の策定及び実行に必要なアドバイスや資金使途に応じた適切なファイナンスの提供等を実践し、地域企業の価値向上や地域経済の活性化に貢献することを期待している。

メインバンクになれるから

創業融資はメインバンクになれる機会です。

創業融資はその企業にとって最初の融資であり、重みも大きいものがあります。

創業融資を実行した銀行が、その企業のメインバンクになるのが一般的な流れです。

 

企業が成長し大企業になれば、さらに派生するうま味は計り知れないものがあります。

上記した新事業創出の面では面目躍如といったところでしょう。

 

企業が発展拡大すれば子会社や関連会社も増えてきます。それらの創業融資も引き続き取り組むことができますし、その次もその次もと融資は拡大できます。

また従業員の取引も重要です。従業員の口座や給料振込もメインバンクが占められますし、そうした従業員が車を買えばマイカーローン、家を建てるなら住宅ローン、退職金で投資信託の運用など派生する取引も大きいものがあります。

 

ある程度の規模がある企業で、給料口座が特定の銀行だけに指定されている会社を見ることがありますが、これなど創業融資を取上げメインバンクになったその関係がいまだに続いている場合も多いのです。銀行員としても、将来性を見込んで稟議書を書いた企業が狙い通りに大きく育つというのは、非常に誇らしいことであり、行員人生を通じての自慢にもなります。

その逆に、創業融資を断わった企業が大企業になってしまうと、目利き力が足りなかったということになるだけでなく、大きくマイナス影響する場合もあります。

焦げ付きのリスクは保証協会が負ってくれる

上記で信用保証協会保証付き創業融資と書きましたが、基本的に創業融資は殆ど信用保証協会保証付きと言って過言ではないでしょう(政府系金融機関を除く)。

信用保証協会が付くと、事業者が銀行に創業資金を返せなくなっても、代わりに信用保証協会が返済してくれます(代位弁済)。

一般的な保証では、責任共有制度のもと、融資額の80%を信用保証協会が保証、20%を金融機関が負担ですが、創業融資の場合は融資額の100%が保証されます。

そういった意味でも創業融資は美味しいのですね(だからといって、焦げ付きが頻発したらマズイのですが)。

創業者側のデメリットはないのでしょうか?

信用保証協会が付くと、信用保証料を支払わなくてはならなくなり、銀行の利子も当然支払う必要があります。その一方で融資を受けられる可能性が高まりますから、痛しかゆしと言ったところです。

この場合、信用保証料や利子を助成する市区町村の制度を活用するのが一般的ですね。

まとめとして~創業融資を取上げたから、断わったから

 創業融資が銀行にとってどれだけ重要か?ある銀行の例を紹介してまとめとします。

 

ある銀行は、世界的大企業A社がまだ個人事業の時、創業融資を頼まれても融資しませんでした。将来性を見抜くことができなかったからです。

その後、努力の末に世界的な大企業になったA社に対し、その銀行が何度頭を下げても、またどれだけ偉い人間が出向いても門前払いされているそうです。

これはなかば都市伝説化された話しなので、どこまでが事実か?という点はありますが、私が聞いたのは、その銀行の役員が会社の受付で足止めされ「お引き取り下さい」とにべもなく断わられている横を、創業融資した銀行の平社員が通り抜けていったそうです。

相当誇張はされていますが、創業融資がいかに大事か?銀行員への教訓として語り継がれているそうです。

 

「あのとき貸してくれたから」

「あのとき将来性を買ってくれなかったから」

銀行に求められている目利き力こそ、創業融資には必要です。

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