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資金繰り悪化を見逃さない!資金繰りをできるだけ簡単にチェックするには
資金繰り悪化を見逃さない!資金繰りをできるだけ簡単にチェックするには

会社を運営する上で、お金は出たり入ったりを繰り返しており、日々動いています。

皆さんはお金の動きを確実にチェック出来ていますか。

中には会社の全てのお金の動きが頭の中に入っているという強者の経営者もいますが、日々の業務に忙殺されて預金通帳すら見ないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それで間違いなければ問題ないのですが、いつの間にか資金繰りが逼迫していた・・・ということは大いに有り得ることです。

会社を運営する以上、一度信用を失ってしまうと取り戻すのは大変であり、それがお金絡みの事となると、顧客や取引先、銀行など影響は計り知れません。

不渡りを起こして黒字倒産という最悪のシナリオもあり得ます。

我々はどうしても売上や利益に目が行きがちです。

通帳記入をすれば預金の動きは直ぐにわかりますが、売掛金や買掛金、在庫の動きによって変動する運転資金は、計算やシミュレーションが必要である分、直ぐには把握しずらいからです。

そこで、今回はできるだけ簡単に自社の資金繰りをチェックする方法をご紹介したいと思います。

目次

資金繰り表の作成が理想

月次の「資金繰り表」を日常的に作成している会社は多くありません。

しかし、資金繰り表の作成が一番重要です。これは経験的に間違いのないことです。

皆さんが銀行に運転資金を申し込みに行った際に、「今後6か月間の資金繰り表を作成して提出してください」と言われたら、直ぐに作成できるでしょうか?

そもそも、直ぐに作成できる(もしくは既に作成している)会社は、その場しのぎの運転資金の借入などしないはずです。前もって会社の資金繰り状況を把握しているので、経常的な資金繰りと突発的な資金繰りの区別がしっかりとつくため、運転資金が必要な理由がはっきりとしているからです。

他方、資金繰り表を作成できない=資金繰りを正確に把握できていない会社は、資金繰りが困窮している本当の原因が把握できていないため、とにかく今の乗り切るための運転資金の借入→返すために借り入れして返済→その借り入れを返すために借り入れて返済を繰り返し、金利負担が重くのしかかり、更に資金繰りを圧迫するという負の連鎖に陥っているケースが多くあります。

資金繰り表のメリットは、表の上で視覚的にお金の動きが視覚化し、資金がマイナスとなるのであれば、その要因がはっきりとすることです。売上が少ない、経費が多い、要返済金額が過大であるなど、何を改善すべきかが明確になるため、対策を打ちやすくなります。

ある旅行会社の例を挙げると、毎期黒字を計上している会社でしたが、手持ち資金が減少していることに気が付かず、不渡り寸前まで放置していました。この会社は、お金が少なくなる時に慌てて経営者が自己資金を投入し、入金があった後に戻すということを繰り返していました。そういった、行き当たりばったりの資金繰りに嫌気が指した経営者は、資金繰り表をようやく作りはじめ、数カ月後の資金繰りをシミュレートするとともに、バッファとしてある程度を金融機関から借り入れることで、余裕を持って資金繰りを回すことができています。

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資金繰りを簡単にチェックするための指標

資金繰り表を作るのは難しそうだという方のために、もう少し簡単に資金繰りをチェックするための指標をご紹介したいと思います。

返済能力

このように言われて直ぐに分かる方はいらっしゃいますか?

なんのことはありません。簡易キャッシュフローです。算出方法は「減価償却費+前月の経常利益金額」です。

減価償却費はPLの費用として計上されますが、実際現預金としては減っていません。そこに前月の経常利益金額をプラスすると、その金額を簡易的な自社の返済能力とみなすことができます。

例えば、減価償却費700千円+前月の経常利益金額1,000千円だとしたら、返済能力は1,700千円となります。毎月の要返済額が1,000千円だとしたら、700千円の現預金が翌月へ繰り越される(資金繰りが改善する)事となります。

自社の返済能力が分かっていれば、”どれだけ借り入れることができるのか”を知ることができます。

 入金サイト

簡単に言うと、掛け取引をしている場合の入金までの期間です。この期間が長ければ、いつまで待ってもお金が入って来ないことになり、入金までの間の資金繰りに苦労することになります。

算出方法としては、「売上債権/平均月商(ヶ月)」で「売上債権=受取手形++割引手形+売掛金(電子債権なども入ります)」です。この期間が短ければ短いほど資金繰りは楽になるという事がわかります。

例えば、売上債権10百万円/平均月商10百万円=1ヶ月となります。それが、売上債権20百万円/平均月商10百万円=2ヶ月となり、1ヶ月期間が長くなっています。これは売上金が最終的に現金として回収するまでの期間が1ヶ月長くなっている事を意味しております(手形や“でんさい”などは割引で直ぐに資金化できる場合もありますが)。なかなか現金として回収できないため、当然資金繰りは悪化します。

長期化している原因としては、(1)請求漏れ(2)回収遅延(3)不良債権化(回収不可能)(4)取引条件の悪化 などが挙げられます。

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注意していただきたいのは、あくまで簡易的な指標ということです。というのも、入金までの期間が長くても、支払いまでの期間が長かったり、在庫が直ぐにはけるようであれば、資金は回るからです。

とはいえ、売上債権回転期間が短ければ短いほど有利であることに変わりはありませんので、常に有利な状況を目指すことが良いことに変わりありません。

目安の期間としては、業種によって差異がありますが、まずは2ヶ月以上であれば資金繰りは厳しいと思われますので、2ヶ月未満に押さえることが必要です。

ある製造業の会社では、基本的には売上入金も支払いも末締めの翌月末払いで、同期間は1ヶ月となり、全体売上の中に入金サイト120日の売上が25%含まれていることから、同期間が1.25ヶ月でした。このような状況であれば、問題ない状況だと言えます。

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