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間違った考え方が資金繰りを悪化させる

資金繰りは特に中小企業の会社運営に直結する業務です。どんなに売上や利益があっても、現預金やすぐにでも資金化可能な債権がなければ潰れる場合もありますし、逆に売上が少なく赤字であっても、潰れない場合もあります。

毎月資金繰りが困窮して、運転資金を常に銀行からの借入に依存している企業は、資金繰りを悪化させている原因を取り除かないまま、自転車操業的な経営でやり繰りし、業績が好転するのをひたすら待っているケースが多く見受けられます。

なぜこのような状況に陥ってしまうのでしょうか。

多くの場合、資金繰りに対する間違った考え方が原因となっています。

資金繰りを悪化させる考え方

売上至上主義

最も多く見られるのは売上至上主義です。

苦労して一から会社を立ち上げたような経営者は、利益率を度外視で売上獲得に奔走する傾向にあります。

とにかく売上、売上と入口(売上)のことばかり考えて、原価や経費の管理が甘くなり、出口(利益)が真っ赤という事はザラにあります。入るお金より出るお金の方が多ければ、いずれ大変な事になる事は明白です。

また、とにかく売上を確保しようと、在庫を大量に抱え込むというケースがあります。特に小売業の場合は、機会損失を減らすことが主要な経営課題のため、需要の予測が甘いままに経験や勘に頼りに大量の仕入れを行ってしまうケースが見られます。

節税に勤しんでいる

利益を出してしまうと税金を取られてしまうので、税金を払うくらいだったら節税しようと、いたずらに経費を増やしてしまっているケースがあります。

例えば退職金がわりの生命保険です。掛けている半分は経費にできる、とのセールストークをよく聞きますが、資金繰りという観点から見るとお金が減っている事には変わりありません。

その他、会社の経費で飲み食いをする、会社で買った自動車を私用で乗り回すなど、節税という名の無駄遣いは非常に多く見られます。

そして、帳簿自体が顧問税理士の指導の元で税金をいかに減らすか=利益をいかに減らすかという視点で作成されているケースが多く見られます。

しかし、これで良いのでしょうか。

金融機関からみたら、しっかりと利益を出す会社に融資をしたいのです。節税をするということは真逆の事をしているということに他ならず、資金調達が難しくなり、ひいては資金繰りも悪化します。

利益=現預金だと思っている

月次の損益計算書(PL)&貸借対照表(BS)を見てみると分かりますが、PLの利益がそのままBSの現預金にスライドしているわけではありません。

例えば、売上が入金されるまでの期間(サイト)が3ヵ月の場合、月次のPL上には売上として計上されますが、入金は実際には3ヵ月後なのです。

ですが、売上のために使った仕入れや宣伝広告費などの経費、給料は毎月支出する必要があります。

事業を行っていると、大口の顧客との取引に恵まれ、一気に売上が伸びることがあります。しかし、取引先の心証を良くしようと、言われるままの条件を呑んでしまい、材料費や人件費を大量投入すると黒字倒産する、という事もあり得るということです。

経費に無頓着

経費は固定費と変動費に区別できます。固定費は売上の多寡に関わらず発生する経費(固定給与、家賃、水道光熱費など)で、変動費は売上の多寡により変わる経費(材料費など)の事です。(←※業種によって変わります)

売上を伸ばしても係る経費に無頓着であれば、利益は伸びません。

恐ろしいのは、事業を継続していると、ゆっくりと経費が積み重なっていくということです。

このページをご覧の皆様も、広くて綺麗な事務所に引っ越した、高性能のプリンターをリースで買った、情報システムを導入した、生命保険に加入した、従業員を増やした、など思い当たるフシは色々とあると思います。

多くの方は必要性を感じて経費の支出に至っていると思います。

しかし、よく検討せずに相見積もりを取らないで業者の言い値で発注してしまう事があります。設備投資の場合、固定資産に計上(BSに計上)で、PLには影響しないと軽く考えている場合がありますが、実際に代金は支払う必要があり、その分お金が出ていくため、資金繰りを悪化させます。

資産・負債管理に無頓着

PLが大切で、BSは結果だからあまり興味がないとお考えの方も多いのではないでしょうか。ですが、例えば回収できるはずの売上(売掛金)などが回収できていないとしたら会社にとっては大きなダメージです。その分の材料や経費の支払いは発生しているからです。しかも貸し倒れとなった場合は、損失として利益を減らすことにもなります。

また、負債部分に関しても銀行からの借入内容(毎月返済額や金利)の整理や買掛金の支払い条件の確認を怠っていると、自社に不利な条件ばかりとなってしまい、資金繰りに困窮する事となってしまいます。

まとめ

あくまで資金繰りは自社で完結するべき事であり、例えるなら家庭の収支の把握を他人には任せない事と同じです。

売上や利益にばかり気を取られていると、気が付いた時には月末の支払いの時にお金が足りないなんて事になりかねません。そうなると、売上もへったくれもありません。

まずは、資金繰りを悪化させる考え方に気づくことが必要です。

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