「早期経営改善計画策定支援事業」と「経営改善計画策定支援事業」を簡単におさらいすると、
事業に元気がなくなったとき国が支援してくれる2つの制度が
- 「早期経営改善計画策定支援事業」
- 「経営改善計画策定支援事業」
であり、
- 2つとも国が経営改善を支援してくれ、補助金をもらえるのがポイント
- 事業の健康状態で「予防」が早期経営改善計画策定支援事業
- 「入院・治療」が経営改善計画策定支援事業
ということが言えます。
2つの違いは「いつ使うか?」、つまりどういった場面で役に立つのかという点です。
目次
早期経営改善計画策定支援事業、経営改善計画策定支援事業はいつ使う
至極簡単に言うと、
- 早期経営改善計画策定支援事業は「借りるとき」
- 経営改善計画策定支援事業は「返せないとき」
となります。
早期経営改善計画策定支援事業は「借りるとき」
早期経営改善計画策定支援事業の概念は「資金繰りや採算管理などの改善を中心にした計画を金融機関に提出することで、自分の経営を見直し、早期の経営改善を促す国の施策」です。
これは、前向きな動きであり具体的には信用保証協会融資の制度融資など低利、返済期間も長い融資など有利な条件の融資も借入できる可能性が出てきます。(条件は他にもあるので、本計画だけで融資を受けられるわけではありません)
金融機関の見る目も変わる
早期経営改善計画策定支援事業に積極的に取り組む姿勢は、金融機関から見ると歓迎すべきものです。
「予防」と説明した通りで、自社の課題や弱みを掴もうという改善意欲がある点がまず好評価です。往々にして経営者は、良くも悪くも自分の経営方針を持っているわけなので、それを自己否定する柔軟性を金融機関では歓迎するのです。
計画通り行かなくても、あまりペナルティーはない
計画は計画なので、うまくいかないときもあります。しかし、早期経営改善計画策定支援事業では、前向きに予防的な経営改善計画を作っているわけです。
したがって万一計画通り行かなかったとしても、特段のペナルティーはありません。
経営改善計画策定支援事業は「返せないとき」
経営改善計画策定支援事業の場合は、入院治療が必要なとき、要は「リスケ」です。
「やったほうがいい」ではなく「やらなければダメ」
経営改善計画策定支援事業の概念は、いわゆる「リスケ」を視野に入れた再建計画(経営改善計画)を提出し、金融機関の支援を依頼する再建策です。
もっと言えば、経営改善計画がなければ金融機関はリスケしてくれません。
往々にして、(計画書の作成では)素人の経営者が作っても、銀行から何度もダメ出しをされて、作り直しを迫られます。
場合によっては、銀行員が指導してくれたりサポートしてくれたりもします。
厳密にいえば、必要以上に関与してしまうと経営改善の自己責任意識を削ぐことになるのですが、担当の銀行員からすると、事業計画を何度も作り直させると自分にとっても手間なので、ほとんど全部作ってしまうこともあります(私の経験)
頼れるプロがサポートしてくれればことがスムーズに
認定支援機関のサポートがあれば、経営改善計画作成から金融機関との交渉サポートなど、リスケもスムーズに進みます。
そして、前出のとおり認定支援機関というプロに頼めば、もちろん費用はかかりますが、事業の悪化によるマイナスを考えた場合、無駄な出費ではないと思います。
まとめ
上記をまとめますと、
- 事業の健康状態で「予防」が早期経営改善計画策定支援事業
- 「入院・治療」が経営改善計画策定支援事業
言い換えると、
- 早期経営改善計画策定支援事業は「借りるとき」
- 経営改善計画策定支援事業は「返せないとき」
そして、
- 困ったときにチカラになってくれる「頼れるプロ」が認定支援機関
これが総括になります。
名前の似通った2つの事業ですが、それぞれの意味、役に立つ時期を理解し事業へ有効に役立ててください。
名前は長くてわかりにくいところもありますが、国が事業者を支援しようという制度です。
頼れるプロである認定支援機関も、文字どおりあなたの事業を支援してくれるはずですから。
そして、頼る以上はその相手をしっかりと自分の目で見て、選ぶことが重要です。
「目先のことしか見えない人より、長期的な視点を持っている人」
「耳の痛いことも言ってくれる人こそ、自分にとって価値を生み出してくれる」
これは前作で、「頼れるプロ」の理想像ですが、ここも人それぞれで正解はありません。ただし、信頼できる相手を選ぶことはなにより大事です。
できれば、読者の皆様もそうした信頼できる「頼れるプロ」に出会えることを願っています。