読んでおきたい

そもそも銀行は名目上赤字融資はしません。

預金を融資し、利息を付加して回収し、満期で預金を返すという銀行の金融仲介機能を維持しようとすると、返せない会社には原則貸さないということになります。

赤字とは利益が出ず、手元にお金がない若しくは将来的にお金が無くなる状態と言えますから、貸した金を回収しなければならない銀行が、わざわざ(追加)融資をすることはない、というのが原則です。

しかし現実は、銀行も赤字企業に融資をしています。

赤字で運転資金が不足してくれば、何もしなければ企業経営が成り立たなくなりますので、銀行が審査のうえで運転資金を融資します。また、赤字で仕入れなどのお金が払えなければ、その支払資金を融資することもあります。

つまり赤字融資とは、一般によく使う運転資金、設備資金といった分類ではなく、赤字を補填する、もっと言えば赤字企業を救済するための融資なのです。

銀行にもよりますが、「赤字補填」ではネガティブなイメージがあるのか、赤字補填とは呼ばず、赤字融資あるいは赤字資金などと呼称するところが多いようです。

目次

赤字融資をする義務はなく、貸し剥しにも該当しない

 たとえば企業を生物と見なせば、赤字とは病気やけがをしている状態と言えるでしょう。

元気な状態(黒字)なら放っておいてもいいのですが、病気やケガでは治療をしなければ、状態は悪化して、最後に倒産(死亡)してしまうかもしれません。

もっとも症状が軽く、自力で回復できるならそれでもいいでしょう。

しかし重症では薬や手術といった治療が必要になり、それが赤字(補填)融資に当てはまります。

一般に、医師が治療を拒むことはできません。これは「応招義務」というものが医師法に定められているためです。

しかし、銀行は赤字融資を拒むことがあります。赤字融資をしたが故に、不良債権が増えれば、金融庁検査で厳しく指導されることになりますし、経営上好ましくないことは間違いないからです。

これを一部の記事では

  • 「赤字になると銀行は貸し渋りをする」
  • 「赤字になったので、新規融資は貸し渋りされた」

など貸し渋りをいうキーワードで表現していることがあります。

しかし、これは少し意味が違います。

そもそも貸し渋りとは、本来なら融資を受けられるはずの企業に、銀行の一方的な事情などから不当に融資を行わないことです。

この場合、不当とは銀行の経営難により、融資する相手を絞り始めた場合など、バブル崩壊時に喧伝された内容です。

繰り返しになりますが、赤字企業に融資をしないのは(良いか悪いかは別にして)金融機関としては当たり前の姿勢です。

返済できないから貸してもらえなかっただけです。

銀行は金融庁など監督官庁から貸し渋り、貸し剥がしを厳しく禁じられていますし、監視もされています。

あなたが融資を断られたとしても、貸し渋りなどとは言わないほうがいいでしょう。事態は悪くなるばかりなので、この点にはぜひ注意してください。

それでも銀行が赤字融資をする理由は?

 赤字融資をするか否か?ここは実に微妙です。

よくあるのは取引歴が長いお得意様は手厚く保護しなければならず、大赤字でも支援を続けるというケースです。

また、その会社を見放して倒産させると地元への影響が大きい場合など、地域から銀行が非難される恐れがある場合も、しぶしぶ赤字融資をするケースがあります。

さらに、雇用されている従業員の多くが銀行で取引しているケースでは、従業員が解雇されると複数の住宅ローンも回収できなくなるなど、連鎖的に銀行にマイナスになる場合も赤字融資の理由となります。

このように、いわばしがらみから赤字融資を続けざるを得ず、支援の甲斐なく会社が倒産し、融資した銀行の経営も悪化した例があります。 

赤字融資を受けるためには相応の担保や保証が必要

赤字融資は、その性格から銀行も保全措置を求めます。通常の融資とは違い、融資をする代わりに担保の追加を要求したり、保証人を追加させたりといった、返せなかった場合のセーフティーネットを求めるのです。

もちろんすべての企業で追加担保や保証人などを準備できるとも限りませんので、その場合は金利をリスクに応じ通常より高めに設定したり、返済期間を希望より短くしたりと、融資において一定の縛り(条件)を設ける場合もあります。

また、売掛金や将来の売り上げ振込をもとに融資(これを引き当て融資と呼びます)する場合や、手持ち手形を割引き(手形割引)させて融資とする場合もあります。

最近では売掛金など売上債権を担保にする融資も多くなっています。担保にできる不動産はなくても、売掛債権なら保有している企業が多いからです。

まとめ

赤字融資とは、赤字になったから貸す融資ではなく、赤字になってしまったが見放すことをできないので止む無く対応する融資である点はぜひ覚えておいてください。

あなたが赤字になったとき、赤字融資を受けられるか否か?これは説明してきたいくつかの要因に左右されますが、日ごろの銀行との付き合い方を大きく影響します。雨が降ってきたときに傘を取り上げられないよう、銀行と上手に付き合っていくことが大事です。

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