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リースをすると資金繰りが悪化する!?

会社を運営するにあたり、規模や業種にかかわらず、設備投資は欠かせません。パソコンやプリンタ、営業車などといった汎用的な設備はもちろんの事、何千万円もする専用的な設備を所有する会社もあります。

多くの会社では、上記のみならず、3Dプリンタや社内サーバー、NC加工機、コンプレッサーなどを所持しており、それらは日常業務に欠かせないものとなっています。

このような設備投資の際、支払いの仕方としては以下の3点が考えられます。

  1. 自己資金
  2. 金融機関などからの借入
  3. リース契約

そして、多くの会社がリース契約による設備投資を行いがちです。

理由としては、設備の販売会社が「当面の資金がなくても大丈夫です!」とリースを組ませて設備投資を進めさせようとするケースが多いからです。曰く、「毎月これだけ払えば、大丈夫」だとか、「金融機関の借入は経費として見られないが、リースは経費として計上できるため、利益削減を図れる。」という節税を打ち出したセールストークも良く使われます。

しかし、安易にリース契約を結ぶと資金繰りを悪化させることもあります。

確かに、直近の資金流出額は少なくなるように見えます。しかし、中長期的な資金繰りを考えると、実はお金を無駄に捨てているという事もあり得えるのです。

この記事ではリース契約と借り入れによる取得を比較して、どちらが資金繰り上で有利なのかを検討します。

目次

取得とリースは財務上異なる

取得とリースの違いを経理の面から考えると以下のようになります。

取得の場合

定率法で減価償却計算(取得価格×減価償却率)すると、取得時期が新しいほど、減価償却費としての計上額が大きくなり、減価償却費として多く金額を計上できることになります。

リースの場合

全期間に渡って同額の経費計上をすることになる。取得時期からリース終了時まで、一定額が経費化されます。

これを具体例で見てみます。

<前提条件>

設備金額500万円、金利2%、期間(耐用年数)6年とした場合です。

取得したケース(自己資金ではなく、全額金融機関からの借入で取得した場合)

減価償却費:1年目 500万円×0.334=1,670,000円(残存価格3,330,000円)、2年目 333万円×0.334=1,112,220円(残存価格2,217,780円)

毎月支払額:元金約7万円/月 プラス利息

年間換算すると支払額は、約94万円(元金84万円+利息多めに10万円として計算)となります。

これをキャッシュフローでみると、年間資金流出額(マイナスのキャッシュフロー)が94万円となる一方、経費として減価償却費が167万円計上されていることになります。

この事から、キャッシュフローとしては、73万円のプラスになります。

なお、金融機関からの借入は残高に対し、利息がかかりますので、1年目は100,000円と仮定しましたが、2年目は残高が減っているため、年80,000円程度に減ります。正確に算出すると、6年間で支払利息の合計は304,166円になります。

リース契約のケース(アドオン方式にて利息計算)

リース料金を計算すると、毎月元金7万円 + 利息約8,333円 = 月支払額78,333円となります。

これを72回払いすることになります。年間約94万円の資金流出が6年間続くことになります。

経費面では94万円の計上、更に資金流出額としても94万円となります。つまりキャッシュフローとしては、94万円のマイナスです。

更に、支払利息としては、月8,333円×72回と6年間で約60万円となり、銀行の利息と比較して倍近くになっています。

キャッシュフローの観点でまとめると、取得は年間73万円のプラス、リースは年間94万円のマイナスとなります。

【補足】アドオン方式とは

アドオン方式とは、金額に対し金利をかけてその期間中の利息を計算し、それを返済期間で割ることです。

【補足】リース契約の種類

・所有権が移転しないリース契約:リース契約満了後も所有権が移転しない。再リースなどが発生する。
・所有権が移転するリース契約:契約満了後に所有権が移転する。減価償却費の対象となる場合もある。
・オペレーティングリース:取引中途解約が可能なリース契約。レンタル取引。

リースは資金繰り上不利になる

以上の例から、資金上余裕がある場合や、金融機関等からの借り入れが可能な場合は、リースではなく、銀行から借入を起こし、設備を取得してしまった方がキャッシュフロー・資金繰り上では有利という事になります。

また、金融機関等からの借り入れであれば、融資の審査が入る事から、客観的な視点から設備投資の内容を判断できるというメリットもあります(デメリットと感じる方もいるかもしれませんが)。

しかし、一概のリースを否定できない部分もあります。金融機関から信用を得ていなければ融資を受けられませんし、仮に審査が通った場合でも、お金が振り込まれるまで(実行されるまで)に時間かかります。

従って、借入の残高や、導入する設備の重要度によってケースバイケースで考える必要があります。

再リースには気を付けたい

リース契約の場合殆どが、リース期間終了後は再リースとなる契約です。その場合、不要なものが自動的に再リースされているケースがあるので気を付けて下さい。

ある会社の事例としては、特殊な机をリースし、使用していないまま倉庫に放置されていた。当初のリース期間は満了していたものの、自動的に再リースとなっていたことがあります。リース会社に確認した所、年数も経過しており、処分していいとの事で、これで月1万円の経費削減となりました。

従って、1年に1回はリース物件の確認をするとか、台帳を作成し、常に状況を把握し、管理した方が良いでしょう。

また、変なリース契約を結ばないためにも、自分たちが弱いと感じる部門については、相談できる信頼できる業者などを確保しておくことが大切です。

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