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事業再構築補助金の申請方法とは?

この記事では、事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)について、2021/2/5に公開された範囲内でご紹介します。

申請方法など詳細な内容については、別途公募要領が公表されてからまとめる予定です(3月中を予定)。

注意点
小規模事業者持続化補助金については、コロナ特別型が終了してしまいましたが、緊急事態宣言再発令による特別措置として「低感染リスク型ビジネス枠」が新設されることになっています。小規模事業者の方は事業再構築補助金とどちらが有効か吟味をすることをお勧めします。

目次

補助額と対象企業規模は?

当補助金で特筆すべきは、補助対象事業者だけでなく、個人事業主中小企業以外にも資本金10億円未満の中堅企業も対象となっているということです。

そして、中堅企業の場合、補助上限が拡充されます。

まとめると以下の通りです。

通常枠

対象事業者 補助枠 補助額 補助率
中小企業、個人事業主 通常枠 100万円~6,000万円 2/3
卒業枠 6,000万円超~1億円 2/3
中堅企業 通常枠 100万円~8,000万円 1/2(4,000万円超で1/3)
グローバルV字回復枠 8,000万円超~1億円 1/2

緊急事態宣言枠

こちらは緊急事態宣言よって大きな影響が出た事業者向けの特別枠です。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

採択件数の上限はありますが、不採択の場合でも通常枠で再審査されるとのことです。

予算規模は1兆1485億円(令和2年度第3次補正予算)と大きくとられていますが、公募回数を重ねるごとに、認知が広まっていきますので、申込件数は増加していくことが予想され、採択率の低下として影響が現れてくることになると思われます。

そのため、第一回の公募から申し込んだ方が有利です。実際に他の補助金では最初に8割という高い採択率ではじまり、最終的には3割代にまで落ち込むとうケースがありました。

事業再構築とはどのような要件か?

まず申請の要件を確認したいと思います。

  1. 売上が10%減少していること(直近6カ月のうち3カ月を昨年又は一昨年同期と比較)
  2. 新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行うこと
  3. 認定支援機関の関与が必要(事業計画策定・フォローアップ)
  4. 3~5年で付加価値額が3%UP(グローバルV字回復枠は5.0%UP)する計画にすること

これらの要件を見る限り、ものづくり補助金初期に似た要件となっています(ただし、事業再構築が必要です)。

肝心の新分野展開、業態転換、事業・業種転換等は、例えば以下のようなことが想定されているようです。

※再構築種別は、筆者が判断して割り振ったものもあります。

再構築種別 (前) (後)
業態転換 紳士服販売業 紳士服のネット販売事業やレンタル事業に業態転換
高齢者向けデイサービス事業 病院向けの給食、事務等の受託サービス事業を立ち上げ
喫茶店経営 コーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売
新分野展開 航空機部品製造 医療機器部品製造に進出
ガソリン販売 フィットネスジムの運営開始
土木造成・造園 観光事業(オートキャンプ場)を立ち上げ

そして、これを商品・サービス/市場・分野の二軸でまとめると、

(既存)商品・サービス (新)商品・サービス
(既存)市場
(新)市場

ということが分かります。

小規模事業者持続化補助金は、チラシやHPの作成が補助されることから、「(既存)商品・サービス×(既存)市場」と分類されますが、事業再構築補助金は、「(新)商品・サービス×(新)市場」という、いわゆる多角化について補助金が出るという点が特筆すべき点だと思われます。

ただし、何でもアリと言う訳でもなく、例をよく読んでみると、他社を買収したり、自社所有の土地を活用するなど、経営資源の有効活用という観点が見られます。恐らく、審査の段階で観点として盛り込まれるものと思われます。

なお、新規創業者については、売上減少要件で確実に対象外になると思われます。上限が100万円に拡張される小規模事業者持続化補助金をお勧めします。

以下、中小企業庁のPR資料より引用しています。

補助対象経費は?

この補助金の特徴的な点として、主要経費と関連経費が分けられています。

主要経費 関連経費
補助対象 建物費、建物撤去費、設備費、システム購入費 外注費、技術導入費、研修費、広告宣伝費・販売促進費、リース費、クラウドサービス費、専門家経費
補助対象外 人件費、旅費、不動産、株式、公道を走る車両、汎用品、原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

ここから分かるのは、主要経費は設備、機械等、建物、システムというモノであり、関連経費はいわばサービスに当たるものということです。

筆者も様々な計画書を見る限り、広告宣伝費(特にネット広告)や外注費などは金額の妥当性が判断しずらいケースが多々ありましたので、理解できるところです。

やはり、財源が税金ということから経費の扱いがより厳格になるのは仕方がないところです。

また、パソコンやスマホが補助対象外となるのは仕方がないのですが、旅費や車両についても対象外となるのは注意が必要です。

小規模事業者持続化補助金であれば、一定の要件で補助対象となっていましたので、テイクアウト用の車両購入をお考えの場合は、小規模事業者持続化補助金を検討した方が良いかもしれません。

公募開始時期と提出先、審査について

公募開始時期は3月です。

事務局は、凸版印刷、リベルタス・コンサルティング、パソナという3社が応札し、パソナに決定しました(参考

提案価格は、399億円でした。適正に審査できる体制があることが評価されているようなので、フェアな審査を期待したいところです。

審査項目は現状のところ判明していませんが、補助金額の大きさからして、ものづくり補助金並みの厳格さとなると思われます。

なお、jGrantsによる電子申請ですので、早めにGビズIDプライムアカウントを取得することをお勧めします。

事業計画は認定支援機関や金融機関と策定する必要あり

上記しましたが、認定支援機関による支援がマストな要件となります。

弊社も認定経営革新等支援機関ですが、国による認定がないとこの認定支援機関にはなれません。

認定支援機関の多くは金融機関や税理士、弊社のような中小企業診断士がいる民間コンサルタント会社です。補助金の代書を行う怪しいコンサルタントも多くいますが、当補助金では排除されることになります。

なお、405事業のように認定支援機関への報酬が補助金として出ることはありませんので、当事者同士で報酬が決まることになります。

ものづくり補助金の例を踏まえると、法外な報酬の請求を防ぐために、認定支援機関名と報酬額を記載することになるかもしれません。

補助金額が3,000万円を超える案件については、金融機関も参加することがマストになります。

やはり当面のつなぎ融資を含めて最初から金融機関に申し込むケースが多いようです。

(基本的に金融機関は認定支援機関を取得しているため、ワンストップで対応できます。とはいえ、本来の業務以外のことを要求されることになるため、どこまで対応すべきか苦慮しているところも多いようです)。

まとめ

まとめます。

  • 公募開始は3月予定
  • 小規模事業者補助金と違い、中堅企業も対象となり、補助額も拡大されているが、付加価値額の増加要件には要注意
  • 認定支援機関や金融機関の関与が必須
  • 事務局は未定。提出先や審査も事務局次第。

詳しい情報が出次第、再度記事としてまとめたいと思います。

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