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リスケするか?ノンバンクで借りるか?~銀行員目線で見ると・・・

「リスケをするか?それともノンバンクで借りるか?」今回はこちらをテーマにしてお話ししていきます。

結論から言います。銀行員が答えるとしたら次の通りとなります。

「銀行と付き合いを続けたいならリスケを選ぶべきです。しかし、資金調達のためにノンバンクで借りることも否定はしません。ただし、そのときはそれなりの覚悟も必要です」

リスケを利用すべきか、それともノンバンクで資金調達するほうがいいのか?それぞれのメリットデメリットを理解してもらうためにも「リスケとは?」「ノンバンクとは?」にも触れていきます。

実際に窓口で返済が困難になったお客様と向き合ってきた銀行員から話を聞き、その銀行員目線で説明しますのでぜひ参考にしてください。

(*今回の記事はある銀行員としての考えを述べたものであり、ノンバンクあるいは特定の企業を否定するものではありません。内容はあくまで参考としていただき、選択は個人の判断にお任せします)

目次

リスケとは?ノンバンクとは?~比較の前に用語解説

「リスケ」「ノンバンク」 サイトで検索してもいろいろな表現があります。今回はおさらいの意味も込めて簡単に用語解説から始めます。

リスケとは?

「今までどおり毎月10万円の返済はムリ、でも5万なら返せる」

「今までのような元利返済はできないけれど、利息の3万円なら払っていける」

こういった最低限の支払まで返済を見直すことができるのがリスケです。

リスケはRESCHEDULE(リスケジュール)の略で、融資の条件を組み直すという意味です。

国が不況対策として打ち出した「金融円滑化法」にもとづいて、銀行が債務者を救済するために融資条件(借入年数、金利、返済方法など融資で決められた要素のこと)を変更するものです。

具体的には返済を減らすため期間を延長したり、元金返済を棚上げして利息支払だけにしたりします。

融資条件を変更することから金融庁や銀行では、「条件変更」「貸出条件の緩和」などとも呼びます。

ノンバンクとは?

ノンバンクとは、銀行のように預金受入はせずお金を融資する(与信業務といいます)業務だけをおこなっている企業です。お金を融資することを金融とも言いますので、その意味ではノンバンクも金融機関と考えられますが、正確に表現するならノンバンクは「貸金業法」で規制される金融業者です。

いっぽう銀行は「銀行法」で規制される金融機関です。(信金には信用金庫法があり、意味は同じ)

融資するお金はノンバンクが銀行から融資を受け調達する場合が主流で、こうした関係から銀行の子会社、グループ企業としてのノンバンクも多くあります。

銀行と付き合いを続けたいならリスケ!である3つの理由

銀行、信金などの金融機関と付き合いを続けたいならリスケを選ぶべきです。銀行員がそう考えるのにはいくつか理由があり、それがリスケのメリットでもあります。

<リスケを選ぶべき3つの理由~それがリスケのメリット>

  • リスケは国の施策~銀行も基本的に「YES」
  • 苦労もあるがいろいろと助けてもらえる~経営改善の支援
  • リスケで辛抱していれば良いこともある~新規融資を受けられるかも 

リスケは国の施策~銀行も基本的に「YES」

国の施策から始まったのがリスケです。金融機関は債務者(事業資金融資のある会社、個人事業主と住宅ローン利用者も含む)から頼まれた場合には、できる限り適切な措置をとるよう努めるという「努力義務」があります。努力義務とは、要するに国からリスケしろ!と命令されていることです。法律としての金融円滑化法はすでに終了していますが、金融庁はリスケ対応を持続するよう金融機関に対し求めています。ですから、リスケを頼めば基本的に断わられることはありません。しかしながら、国の施策で困っている債務者を支援するリスケなのですが、誰でもリスケしてもらえるというわけではありません。延滞が長期化しすぎて支払えるアテがない、業況の落ち込みが激しく改善の見通しがまったくないといった場合はリスケより廃業や、事業の清算をすすめられます。ノンバンク利用が問題になる場合もありますので、あとで詳しく説明します。

苦労もあるがいろいろと助けてもらえる~経営改善の支援

リスケする場合は、経費節減やリストラなど経営改善に向けた計画(事業計画、経営改善計画などと

言います)を作り、銀行に認めてもらわなくてはいけません。事業を続ける熱意があり、事業を立て直せる可能性がないとリスケしてもらえません。計画を考えることやリストラなど苦労もありますが、商談会に参加させてもらえたり、取引先を紹介してくれたりすることもあります。(しかも基本的に無料!A4一枚の申込用紙の場合が多いようです)

リスケした債務者を立て直すのは銀行にとっても大事で、経営改善の支援をしてもらえることがあります。

リスケで辛抱していれば良いこともある~新規融資を受けられるかも

リスケをすれば毎月の返済が少なくなって楽になります。しかし原則リスケしているあいだは新規の融資を受けることはできません。返済ができないから返済を減らしている会社が、新規で資金調達しても返せるはずがないという考えです。

また、リスケは取引している金融機関すべて同時に実施するのが大原則です。A・B・C3つの銀行に融資があるとすれば、リスケする場合は全部いっぺんにリスケしなければダメです。AとB銀行は返済をゼロにしてもC銀行は条件が良いからそのままにする、などというのは絶対にAB銀行が認めません。また、日頃ライバル関係にある銀行同士でもリスケに関することだけは相互に情報交換します。ですから、リスケ中はどこの銀行からも融資を受けるのは原則ムリでした。ところが、最近は信用保証協会の特別融資や銀行独自の融資でリスケ中でも新規に融資を受けられるようになってきました。辛抱していれば、こうした新規融資で資金調達できる可能性もあります。

まとめ~ノンバンク利用よりリスケをおすすめするその他の理由

ノンバンクなら、リスケ中でも融資を受けることは可能です。もちろん個別の審査次第ですが、一般的に金融機関より審査が柔軟で、スピードも早いのがノンバンクの特徴です。しかし審査が柔軟(ゆるい)ほど、金利などの条件は不利になる傾向があるので利用は慎重に検討すべきだと思います。

そして、上記したようにリスケ中に他で借りたことが銀行にバレたら問題になります。ノンバンクで借りた場合ももちろん同じです。しかも銀行ではノンバンクのことを一律的に「高利借入」という見方をしていますので、銀行がその債務者を見る目は厳しくなり、最悪の場合リスケを取り消されてしまうかも知れません。

誤解のないように繰り返しますが、ノンバンクを否定するつもりはありません。しかし、リスケを選んだならノンバンクの利用は避けるべきで、どうしてもそうしなければならないときは、このように「それなりの覚悟が必要」となることをぜひ覚えておいてください。

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