読んでおきたい
融資のキホン(1)~まず事業内容がチェックされる

今回は融資審査における基本的な考え方として、「事業内容」について説明します。

事業内容とはどんな職業、職種なのか?どんな業種なのか?ということです。

金融機関として、融資の内容はもちろん重要ですが「貸す相手」も大事なのです。

これは金融サービスを提供するサービス業でありながら、客を選別できるという金融機関ならではの特性です。

銀行は誰にでも貸すわけではない

どんな人には貸さないのか?

創業・開業を考えている方は、事業内容によっては融資が受けられない可能性もありますので、注意してくださいね。

目次

誰にでも貸すわけではない

銀行が融資する業種とは?

その答えを並べるより、貸さない対象をあげたほうがわかりやすいでしょう。

<銀行が融資しない相手とは?>

  1. 反社会的勢力には融資しない~「融資の5原則」による
  2. 業種によっては融資しない~業種の特性と「融資の5原則」による

反社会的勢力には融資しない~「融資の5原則」による

銀行など金融機関には「融資の五原則」というものがあります。これは融資をするときの基本原則で、法令や規則というよりも共通認識、業界のルールといった位置づけです。

融資の五原則

融資するときは、以下5つの原則を守らなくてはいけないとされています。

融資の5原則
  1. 公共性(が無くてはいけない、以下同じ)
  2. 成長性
  3. 安全性
  4. 収益性
  5. 流動性

    それぞれ詳細説明は省きますが、金融機関が健全経営をするため守るべき原則です。このうち「公共性」の原則から、反社会的勢力には融資しないことになっています。

    知らないうちに反社会的勢力になっている?

    反社会的勢力の説明と、取引しない理由は特に説明不要でしょう。しかし、ここで問題になるのは「自分が、自分でも知らないうちに反社会的勢力になっている(されている)かも?」という点です。

    たとえば、何世代も前のご先祖様が反社会的勢力になっており「〇〇家は反社」とレッテルが貼られている場合もあります。地方などでまれに見受けられるケースです。

    銀行内部でも支店長など限られた人間だけに受け継がれる極秘情報的なもので、いつどのような理由でそうなったか?などはもうわからず、とにかく「あの家は反社だから取引不可」と受け継がれているのです。もちろん部外秘の情報ですので、あなたが不幸にも当事者となってしまったとしても(融資を断わられたが、理由を教えて貰えなかった)、原因はわからずじまい、という可能性もあります。

    上記は都市伝説的な例ですが、これ以外でもたとえば飲酒運転で検挙されたり、何かしらの犯罪で逮捕されたり(今はちゃんと更生していても)した場合などは犯罪者として銀行内部で反社会的勢力に見なされる場合もあるので、注意が必要です。

    業種によっては融資しない~業種の特性と「融資の5原則」による

    こちらは「業種の特性」と「融資の5原則」によるものの、2つに分かれます。

    業種の特性~融資できない業種①

    反社会的勢力ではなくても、銀行では融資できない業種があります。

    たとえば農林水産業は、農業ならJA(農協)、漁業ならJF(漁協、マリンバンク)といった具合に、それぞれ独立した専門の金融機関があります。銀行が融資してはいけない、のではなく専門の金融機関があるから、という理由です。

    ほかにも同業である金融業にも融資できません。(資金の融通は金融市場などを通じておこなわれますが、融資とは違います)

    「融資の5原則」によるもの~融資できない業種②

    いわゆる性風俗や、俗にいう「公序良俗に反する」業種には融資しません。

    これも「融資の5原則」の公共性からくるものです。

    ここまでの説明の参考として、東京信用保証協会のホームページから引用します。

    これは保証協会保証付融資に関する業種の内容ですが、銀行で融資取引できない業種とほぼ同じです。

    農林・漁業、風営法第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、金融業、学校法人、宗教法人、非営利団体(NPO法人を除く)、LLP(有限責任事業組合)等、その他当協会が 支援するのは難しいと判断した業態です。

    東京信用保証協会HP/ご利用頂けない中小企業とは?

    https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/unable.html

    上記ページの「信用保証対象外業種一覧」または

    https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/cgc_taishogai_list_2020-6.pdf

    一部業種の見直しについて

    令和2年5月より、信用保証協会の対象業種が見直され、これまで対象外だった業種が追加指定されました。

    追加された業種 抜粋
    1. 風俗営業に係る飲食業等  (注1)
    2. 場外売場(車券・馬券等)、競争場等
    3. パチンコホール等(パチンコ店、スロット店) (注2)

    (注1)これは「キャバレー」等を指します。いわゆる性風俗は対象外です。

    (注2)パチンコ業界へは、設備投資など限定ながらプロパー融資はおこなっていました。

    まとめ

    トピックでもお伝えしたとおり、キャバレーやパチンコ店が信用保証協会の対象業種に指定されるなど、様相は以前と変わりつつあります。上記の業種は俗に「不況知らず」の業種と考えられていましたが(実際そんなことはありませんが)、新型コロナウイルスの影響はここにも出ているようです。今後も、想定外の事象などで、今まで常識だったことが常識でなくなるようになっていくのかも知れません。

    今回説明した事業内容、業種など具体的な取り扱いについては、かならずご自身で確認してください。

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