読んでおきたい
融資のキホン(2)~どうやって返すのかを説明できますか?

今回は資金計画について説明します。

事業に必要な資金を銀行融資で資金調達して、融資金をどのように使い、利益を生み出して、どうやって返すのか?が資金計画です。

事業資金融資で重要なキーワードとして、なるべくわかりやすく説明していきますので、ぜひ参考にして下さい。

目次

資金計画とは?〜どうやって返すのか?

計画と言うくらいで、通常資金計画は文書にして銀行融資の審査用に提出します。

  • 「事業計画(書)」
  • 「創業計画」
  • 「設備計画」

など計画書にもいろいろありますが、共通しているのは「融資をどうやって返すのか?」が盛り込まれていると言う点です。

また資金計画は、借金を返済していく具体的な算段、難しく言えば「返済原資の捻出方法」とも表現できます。

返済原資とは、文字通り借金を返済する資金源(これが原資)のことで、この部分の説明がなければ資金計画としては不十分で、融資も受けにくくなります。

以上ここまでをまとめますと、資金計画では借金を返すお金をどこから捻り出すか?が重要になります。

資金計画3つの要点(キモ)

資金計画(書)にはこれといったフォームはなく、また手書きでも原則として問題はありません(見た目やアピール度は別にしてですが)

ただし、いくつか外せないポイント(キモ)があります。主に以下の3つを、それぞれ説明していきます。

<資金計画3つの要点(キモ)>

  1. 計画は「過去、現在、未来」が必須パターン
  2. 「貸してください!」ではなく「資金調達は必然」と言う論法
  3. 転ばぬ先の杖は持っているか?

1.計画は「過去、現在、未来」が必須パターン

計画にはスタートがあり、途中経過があり、そしてゴールが必要です。

過去とは大昔、ではなくスタートラインを指します。資金計画ではスタート時点の手持資金の意味として前残または繰越残高(前年末、前月末残高)になります。

今に至る事業活動の成果、つまり過去のことで、新規創業の場合は開業時の準備金となり、事業活動中で前残がないなら、すなわち赤字である、と言うことになります。

現在とは今、具体的には今期、今月を意味します。ここまでの売上や利益の実績と、これからの売上回収や、支払いなど確定している数値です。確定しているものは既定の実績ととらえ「今のところ、売上と利益はこんな感じです」と言える数値を指します。

そして未来とは、今期あるいは今月の予想から数年後に至るまでの数値予想を意味します。

もちろん予想なので、その通りにいかないこともあり得ますが、ここで大事なのは「過去がこうだったから、今はこんな感じで進んでいて、だから未来もこうなります!」とシナリオが描けることです。

資金計画では前残(過去)と現状の推移(今)を数値化して示し、予想(未来)数値の実現性を訴えるものでなくてはいけません。

数字を重視する金融機関には、数字でアピールすることが基本ですので、説得力を持って数値を組み立てることが必要になります。

一方で、経営者の多くが未来志向であるため、未来の部分が大風呂敷になりがち・・・というか未来しか見ていないということもよくあります。そうすると、数値上の飛躍が大きくなり、ツッコミどころ満載→稟議が通らないとなる訳です。

2.「貸してください!」ではなく「資金調達は必然」と言う論法

これはイメージ、ビジョンといった部分ですが、融資を申し込むからといっても、「貸してください」では上手くいきません。

たとえば資金計画で

「一年後の3月に工場建て替えの設備投資を計画しているので、一億円の設備資金融資を受ける

「工場建替期間の約半年は、売上も一時的に減少するが、つなぎ資金として運転資金融資を受ける

上記の計画では、まるで融資が決定しているかのような論法になっています。

業況や取引振り、銀行との力関係など、考慮しなければいけない点もありますが、計画としては「融資は必然」と持っていくのがベターです。

審査は金融機関がするわけで、へりくだっても、頼み込んでも結果は変わりません。それなら胸を張って(ある程度ハッタリも含めて)主張したほうがいいと思います。

3.転ばぬ先の杖は持っているか?

計画は計画どおりいかないのが世の常で、金融機関もその点はわかっています。

そこで資金計画では、上手くいかなかった時にどうするか?

つまり「転ばぬ先の杖を持っているか?」を金融機関は必ずチェックします。

「失敗はしないので、失敗したときのことは考えてません」

こんな、ドラマで聞いたような台詞は銀行融資では禁句です。

ダメだったらどうする?という、セーフティーネットがなければ無計画と判断され、融資は難しくなるでしょう。

転ばぬ先の杖とは?

これは例えば自己資金、銀行預金などの蓄えが該当します。ただし使ってしまえばそれまでなので、動産類(預貯金、投資、貴金属など)などは、金融機関では確実性の面では評価されにくいです。

むしろ自宅や工場などの不動産や実家の資産(不動産など)のほうが、プラス要素と見てもらえます。

この場合、両親が融資の保証人になっているか?はあまり関係ありません。なぜなら破綻すれば、保証人になっていようがいまいが、両親の資産で返済する人が多いことを、金融機関は経験から知っているからです。

まとめ

ここまでを振り返ると

  • 資金計画とは、借金を返すお金をどうやって捻り出すか?を説明した文書のこと
  • 資金計画には現在、過去、未来が盛り込まれていなければならない
  • 貸してくださいとへりくだらずに、融資は必然だと訴える論法が大事
  • ダメなときのこともちゃんと考えられている

と、このようにまとめることができます。

実際に紙を前にして考えてみると、結構作るのは大変ですが、自分の会社の将来を予想するので、決して嫌な作業ではないと思います。

プロにサポートしてもらうのもいいでしょう。

おすすめの記事