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借換とリスケどちらが良い?それぞれのメリット、デメリットは?

借換えリスケの違いと、どちらが良いのか?について説明します。

借換えとリスケは似ているようで、まったく違います。

借換えとリスケ、どちらが良いか?というと、それは借換えです。銀行員であってもそう断言します。

ここでいう良いは、優劣ではなくまた善悪の比較でもありません。

客観的に見て、借入金の返済が苦しい、資金繰りが大変だと感じた時に何を最初に考えるべきかという意味です。

この意味では、最初に考えるべきは借換えと言い切れます。

勿論、リスケは利息を払うだけで元本の返済が猶予されることから、事業再建の手段としては極めて重要です。

時にはリスケを選ぶ必要性もあるでしょう。

ですから、繰り返しになりますが、以下の順番で考えていきましょう。

  1. 借換え
  2. リスケ

今回の記事では、なぜこのような優先順位とすべきか、より詳しく借換えとリスケそれぞれのメリット、デメリットも含め説明していきます。

借換えにするか?リスケにするか? 選択しなければいけない日が来るかも知れませんので、ぜひ参考にしてください。

目次

借換えとリスケのざっくりとした違いとは?

借換えとは?

リスケとは?

まずそこから説明し、どちらが良いかに言及します。

どちらが良いか?答えは冒頭のとおり、「あなたにとって借換えをまず最初に考えた方が良い」です。

借換えもリスケも「従前の融資を塗り替える」点は一緒です。

ただ、根本的な違いが2

「前向きか?後ろ向きか?」

「返せるのか?返さないのか?」

この違いも、それぞれの説明で触れます。

借換えとは?

借換えとは?新しい融資で従前融資を返済してしまう「融資のリセット」です。

ゲームで例えるなら、RPG(ロールプレイングゲーム)が思い通り進まなかったので、リセットボタンを押して最初からやり直すこと。

すべてはじめからのスタートになりますので、従前融資は返済されたことになります。

借換えは「前向き、返せる人」の融資

借換えは新規融資の一種と言えます。

ただし、単純な新規融資とは違います。新規融資で、従前融資は返済しない(借換え無し)場合は「NEWマネー」などと呼び、単に融資残高が増えるだけだからです。

借換えは、新規融資を利用して従前融資を返済したことにすることで、返済期限を延ばすものです。これにより、月々の返済額を減らす効果があります。

具体例を挙げると、要2年返済1,000万円(A)の従前融資が残っている時に、10年返済1,000万円(B)の新規融資を受け、(A)を返済したことにすることで、(B)を10年で返済すればよい状況にするというものです。

言ってしまえば、単なる返済の先延ばしです。返済しないといけないことに変わりはありません。とは言え、返済期限が伸びますので、月々の返済金額は薄まります。資金繰り上のメリットは非常に大きいものとなります。

勿論、2,000万円借りて1,000万円借換えする場合もありますので、融資額が増加することもあり得ます。

また融資額が増加しなくても従前融資3本を一本化する場合も借換えとなります。A銀行に1,000万円、B銀行に100万円、C銀行に600万円借りている場合に、A銀行に1,700万円を集約することも可能性としてはアリですので、借換えとなります。

ただし、あくまでも新規融資という前向きな融資ですから、業況不振でリスケ(詳細後述)するような状態にはなっておらず、増額があっても無くても、借換え後も融資が返せる人にしか借換え融資はしてくれません。

リスケとは

リスケ(リスケジュール Rescheduleの略)とは、業況不振に陥り融資の返済が困難になった企業が、銀行に申し入れて返済を軽減してもらう措置です。

リスケの特徴を、借換えと比較しながら並べると以下のようになります。

リスケ 借換え
対象 「返せない」人 「返せる」人
従前融資の取り扱い 従前融資を残し、返済年数などの融資条件を変更するのが基本(返済を猶予して、利息の支払いだけにする) 従前融資を返済して、無かったことにする
新規融資の可否【重要】 返済が正常に戻るまでは原則として×

リスケは「後ろ向き、返せない人」への措置

上記したとおり、リスケは融資が返せない人への後ろ向きな対応です。

返せないと言っているので、原則新規融資はしません。

また、リスケした融資は条件変更貸出金、あるいは貸出条件緩和債権などと呼ばれ、リスケしていることで銀行取引に大きくマイナスな影響があります。(詳細後述)

リスケとは「条件変更」「貸出条件の緩和」

リスケは返済期間、金利、毎月返済額など融資の「条件」を「緩和(緩(ゆる)くする」ことであり、金融機関では古くから「条件変更」と呼んできました。

条件変更をリスケと呼ぶようになったのは最近のことで、横文字化して本来のニュアンスが薄れることから、敢えて条件変更という表現を使い続ける銀行もあります。

どちらが良いか?メリットデメリットで比較

繰り返しになりますが、「借換えを最初に考えましょう」が答えです。

それはなぜかというと、

借換えはメリットがデメリットより大きいから

そして

リスケはメリットよりデメリットが遙かに大きい

からです。

借換えのメリット、デメリット

 メリット

  • 借換えして、毎月返済や金利の低下など条件の改善が図れる
  • 増額借換えなら手許に資金が残り、なおかつ返済が少なくなるときもある
  • 前向きな融資であり、追加融資の障壁にはならず、また格付(信用格付、銀行格付)には直接影響しない

 デメリット

  • 借換えすると融資期間はリセットされ、完済という「ゴール」が遠のく
  • 借換えによる融資期間の長期化や融資額増加で、利息支払額も増える
  • 借入が増加、長期化することで、返済困難になると格付低下につながる

リスケのメリット、デメリット

メリット

  • リスケして、毎月返済や金利の低下など条件の改善が図れる
  • リスケにより返済が減った金額は、事業資金として有効活用できる
  • リスケの応じてもらえたことで、銀行との融資取引はとりあえず継続できる(リスケしてもらえなければ、全額返済するか代位弁済や破綻となる)

デメリット

  • リスケすると融資期間はリセットされ、完済という「ゴール」が遠のく
  • 返せないと言っているので、原則新規融資してもらえない(前出)
  • 貸出条件緩和債権(前出)があることで、格付が低下する

まとめ

コロナウイルスの実質無利子融資制度でも、借換えに積極対応してもらえます。とりあえず3年間は無利子というメリットを活かすことができます。

更に、日本政策金融公庫でも「公庫融資借換特例制度」がありますので、借換えに応じる仕組みは整備されています。

最後に、信用保証協会付の融資の場合は、借換えに注意が必要となりますので、こちら記事を参考にしてもらえればと思います。

業況を持ち直すことができるよう祈念して、この記事のまとめとします。

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