読んでおきたい

問)手形割引とはなんでしょう?

答)手形を割り引くことです

いきなり禅問答のようになってしまいましたが、手形割引を一言で表すならこうなります。

「では手形って何?」

「割り引くってどういうこと?」

と疑問を感じる方もいるかも知れません。

基本的な銀行融資のひとつでありながら、手形割引をわかりやすく、しかも誰にでも理解できるよう説明するのは、実のところかなり難しいものです。

そこで今回は、手形割引の特徴と注意点を説明します。

手形割引について知りたい人、また手形割引を経験したことのある人も知識のおさらいとして参考にしてください。

目次

手形割引とは?

「手形割引とは商取引に基づいて振り出された約束手形・あるいは引受済みの為替手形を、

期日までの金利相当額(これを割引料という)を差し引いて銀行が買い取る取引のことで、

手形貸付 ・証書貸付と並んで、多く利用される貸出形式です」

教科書的な模範解答ならこのようになるでしょう。内容は間違っていませんし、簡潔な表現だとは思いますが、それでもまだまだ専門用語が多いので、さらにかみ砕いて説明していきます。

手形とは?

まず手形とはなんでしょう ?

手形とは、商取引で資金決済の手段として、現金や振り込み以外の方法で用いられるものです。

手形とは、一定の条件で支払いをする証券であり、商取引で発生した手形を総称して「商業手形」とも呼びます。銀行などで手形割引の対象になるのはこの商業手形で、銀行では手形割引を正しくは商業手形割引(略して商手・ショウテ)などとも呼んでいます。

これをより簡単に言うと、「今はお金がありませんが、近い将来にお金が入ってきますので、それで支払いをしますよ」という証明書のようなものと思ってもらって結構です。

手形の種類

商業手形の中にも種類があり「約束手形」「為替手形」に分けられます。現在手形割引するのは約束手形が主流であり、為替手形は流通自体減少する傾向にあります。

また、手形に類似する小切手も簡単に説明しますので、手形と小切手の違いを、今回の機会にぜひ覚えておいてください。

<約束手形>

出典:一般社団法人 全国銀行協会 - 動物たちと学ぶ 手形・小切手のはなし

約束手形とは「いついつまでに、この金額を支払います」と約束した証券です。

商取引では、すべて即日現金で支払うとは限りません。たとえば1ヶ月後に支払うと約束して、品物(商品、原料など)は先に受け取る場合もあります。こうして支払いを繰り延べすることを売掛といいます。

売掛金は、翌月振込で払う以外に、上記したように、あらかじめ期日を定めて支払う約束をした証券を渡す場合があり、これが約束手形です。

ちなみに手形を発行するための預金が当座預金で、当座預金を開設するには銀行から審査で認められる必要があります。したがって、約束手形を発行できる企業ということは、それだけで銀行から一定の信用を与えられている企業だという見方ができます。

<為替手形>

出典:一般社団法人 全国銀行協会 - 動物たちと学ぶ 手形・小切手のはなし

為替手形も、期日を定めて支払う約束をした証券、というところまでは約束手形と同じです。

ただしここからが違ってきます。

為替手形とは「手形の発行者が、第三者(支払人)に委託し、受取人またはその指図人に対して一定の金額を支払ってもらう形式の手形のこと」です。

具体的には、お金を受取る権利(債権)と支払う義務(債務)を同時に抱えた人が、債権と債務を一度に解消する(決済といいます)ために発行するのが為替手形です。

例えば、A社がB社に500万円を支払わなくてはいけない。C社がA社に500万円を支払わなくてはいけない。という状況の時に、C社からB社に支払う形にしてもらうという手形です。

為替手形は複雑で、本題と離れてしまうので、ここではとりあえず

約束手形の登場人物は2人=支払う人・受取る人

 為替手形の登場人物は3人=支払う人・受取る人・それを指図する人

という点だけ押さえておいてください。

<小切手>

出典:一般社団法人 全国銀行協会 - 動物たちと学ぶ 手形・小切手のはなし

お金を払う約束をした証券という点では、小切手も約束手形も同じです。最大の違いは「期日」です。約束手形はいついつまでに支払うという期日がありますが、小切手に期日はありません。また小切手は割引できません。その理由も期日がないからです。

期日がないことを「一覧払い」などとも言いますが、これこそが小切手の特徴です。

一般的に小切手を受け取った人は、即日銀行に持ち込み現金化することが可能です。

即日現金化できることから、小切手は限りなく現金に近いものと解釈されています。

一昔前の外国映画やドラマでは、よくお金持ちが現金の代わりに小切手にサラサラッとサインして渡すシーンがありました。現在は小切手も減少傾向にあり、若い世代にはイメージしにくいかも知れません。

手形割引の特徴~手形割引は手形の買取?それとも融資?

ここまで読み進めてくれた人なら、次の説明もかなり理解できると思います。ここからは手形割引について、さらに掘り下げたいと思います。

手形割引の法律的性格には「手形の買取説」「手形の担保説」の2説があります。手形貸付や証書貸付とは違う、手形割引だけの複雑な一面です。

手形買取説=手形を銀行に買い取ってもらう

期日までの金利相当額を差し引いて銀行が手形を買い取る、というのが買取説です。

しかし、買い取ってもらったらそれですべて終わりではありません。

 <手形割引が「終わらない」ケース>

  1. 割引した人の信用が悪化した場合
  2. 買い取った手形の信用が悪化した場合
  3. 手形が不渡りになった場合

上記のような事態になると、割引した(買い取った)手形を銀行から買い戻しするよう求められる場合があります。買い戻しとは、割引してもらった手形金額(額面)を銀行に払って、かわりに手形の現物を受け取ること。要は手形割引がキャンセルされるということです。

この、銀行が手形買い戻しを求めることができる権利を「買戻請求権」と言います。

手形担保説=期日まで手形を担保として融資する

こちらは手形の買い取りではなく「手形を担保にした融資」と考える説です。

手形担保説で考えた場合「手形振出人の審査」「割引依頼人の審査」といったように、

審査というキーワードが重要になってきます。

ちなみに買い取り説も担保説も、両方とも正しいという考え方が一般的です。

手形割引の注意点~銀行の審査ポイントとは?

手形割引も他の融資と同じで審査があります。ですから手形割引が拒否されるのは、融資の審査落ちと同じ意味になりますです。それにはいくつか要因があります。

振出人

手形の振出人(手形を発行した人、つまり期日に支払う義務がある)に信用面で問題があると割引してもらえません。信用面とは、不渡りになる可能性が高い手形だと銀行が判断したことを意味しています。

もちろん「この手形は不渡りになる可能性が高いので割引できません」など絶対言いません。しかし、銀行で手形割引するのは通常以前から融資取引している人なので、はっきり口に出さずとも「今回はご要望に沿うことはできませんが、あなたには問題がないです。」などと匂わす説明をしてくれる場合もあります。銀行が「この手形はヤバい」と教えてくれているので、代金回収など早めに手を打ったほうがいいかもしれません。

割引依頼人

こちらは逆に割引依頼人(あなたが割引をたのんだなら、あなたのこと)に問題があるケースです。今までは融資取引してきたが、今回もうできないということになります。

銀行融資にはカンタン、ムズカシイといった順番はないのですが、それでも手形割引は銀行融資でも、比較的断られることが少ないと言われています。ですから手形割引きを断られた場合は、早めにほかの銀行に相談するなどの対応が必要になります。

手形の偽造

詐欺、犯罪も巧妙化して、手形の偽造や詐取(だまし取ること)が今も横行しています。

こうした犯罪行為が判明した場合は、当然その手形の割引きはできません。
自分が犯罪に巻き込まれないよう、手形の知識はしっかり持っておくべきでしょう。

まとめ~手形割引最大のリスクは不渡り

手形割引は、自分と振出人に問題がなければあまり断わられることはありません。

ですから、手形割引は事業資金調達の即効性ある手段といえます。

でも、もし断わられたなら理由を必ず聞くことが必要です。

手形に問題があれば、そのあとの対応も早めに手が打てる。

また銀行ではなく、割引専門の業者でも割引してもらえないような手形は、不渡りのリスクが高いと言えます。手形割引最大のリスクはこの不渡りです。こちらについては次項で詳しく説明していきます。

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