創業融資については私も多くの事例をお手伝いしてきました。
今回は創業資金融資の審査ポイントについて、以下3つに分けて説明します。
- 経験の無い人が創業する場合、融資はむずかしい?
- 人脈や得意先がまったくゼロだとむずかしい?
- 個人保証、担保、住宅ローンが残っている場合の影響は?
目次
経験が無い人が創業する場合、融資はむずかしい?
経験が無い人が創業する場合、融資はむずかしいです。
まったく無理、門前払いとまではいきませんが、相当ハードルが高くなります。
なぜなら事業計画の説得力に欠けるからです。
創業資金融資では「事業計画」が重要になってきます。
事業計画に基づいて必要な資金を借りる、だから創業融資が必然!と胸を張って話せるような計画になっているのが大原則です。
事業計画には、事業をどのように運営し、どうやって利益を確保していくかが書かれており、銀行はここに注目しています。計画が何ページあっても、借り入れをどう返していくのか?の部分だけを銀行は見ていると言い切れるくらいです。
事業計画を作るうえで、培ってきた経験と人脈(詳細後述)が無いと、それらをカバーできるポイントを打ち出さなければいけませんが、説得力のある回答はなかなかありません。
やる気や知識をアピールしても銀行には響きません。彼らが重視するのは目に見えるエビデンスなのです。
人脈や得意先がまったくゼロだとむずかしい?
こちらも経験と同じで、目に見えるエビデンスとして創業資金融資でチェックされます。
ゼロからのスタートで、人脈も得意先も無い状態で創業すること自体、リスクを内包しているわけで、酷な表現ですが向こう見ず、舵のない船で出港するようなものです。
そのような計画では創業資金融資を受けるのはむずかしいでしょう。
ただし現時点では人脈得意先ゼロでも、確証のある見通し(公共団体と提携して大々的に支援されることが決まっているなど)があれば前向き審査してもらえる場合もあります。
個人保証、担保、住宅ローンが残っている場合の影響は?
これら3つはそれぞれ創業資金融資では足枷となる場合が多いです。
個人保証はあるだけで難しい
個人保証とはいわゆる借金の連帯保証人のことです。
この場合、連帯保証人になった経緯がチェックされます。
良くあるのが、自分も相手に借金があり、お互い保証人になるケース。こちらは相当マイナスに捉えられます。
また保証する債務の額にもよりますが、保証した相手が破綻した場合、自分にも金銭的、個人信用情報の面でも(詳細後述)相当なダメージがあるものです。
個人保証があると言うだけで、融資はむずかしくなるでしょう。
担保は抹消登記忘れに注意
担保については、自分の借金に対する担保なら、その借金とセットにして審査でチェックされます。
創業資金融資を受けるということは、それまで事業も事業資金融資も無かった筈です。良くあるのが個人事業で高利貸しなどから土地を担保に借り入れしたことがある場合で、借金は返し終えたのに担保を抹消していなかったという事例。
抹消にかかる費用を嫌って手続きしていなかったために、高利貸しの抵当権が残ったままというケースです。言うまでも無く即審査落ちです。その時点で高利貸しの借金がなくても、借りたという事実だけで創業資金融資はムリです。
住宅ローンは延滞に注意
住宅ローンが残っていても、それだけでネガティブには見られません。担保も住宅ローンに関するものなら問題はありません。
また遅れなく返済してきたなら、そうした返済実績はむしろプラス評価してもらえます。
その逆に、延滞していた場合などは個人信用情報に異動(*)が記録されますので、創業資金融資もまず受けることはできません。
創業が個人なら言うまでも無く、会社としてでも代表者に個人信用情報で異動があると、どれだけ素晴らしい事業計画があっても、創業資金融資は受けることがむずかしくなります。
(*異動:融資の返済に関する事故情報が個人信用情報に登録される場合の符号 ローンの返済が数ヶ月遅れる「延滞」 ローン返済ができず保証会社が一括払いした「代位弁済」 また保証人になっている場合には、保証した債務が自己になった記録も残る)
住宅ローンは安定度のアピールが可能~まとめとして
創業資金融資の審査ポイントのまとめとして、最後に住宅ローンの捉え方をもう少し解説します。
上記したとおり、返済実績は安定度でプラス作用します。
また家があることもプラス作用です。
これは定着性といって、借りる人が急に所在不明にならないという意味で、審査で重視します。創業資金融資では賃貸より持ち家、事務所も賃貸より自社所有のほうが、定着性があるとプラス評価してもらえます。
(参考までに、電話も固定電話の方が信頼性は高まります。ただし携帯が普及して重要度は薄れつつあります)
また精神面でも、家を持つ重さがポイントになります。
自分の家を持つと、どんなことをしてでも家を守ろうと努力するもので、銀行もその点を知っています。
家を守りたいから、創業後に苦しくても努力していく活力源にもなるのです。
このように、創業資金融資では住宅ローンがあるのはプラスに評価することも多いのです。