読んでおきたい

事業(会社)を「法人」と呼ぶように、事業にも人間と同様に健康状態が変わるときがあります。

普通に経営できている、売上が順調に伸びているなら「健康」ですし、売上減少なら「元気がない、病気」、そして融資の返済ができない、あるいは支払が不可能になったとなれば「入院」そして「死亡」といったところでしょう。

このように事業の健康状態、特に元気がなくなったとき国が支援してくれる、下記2つの制度があります。

  1. 「早期経営改善計画策定支援事業」
  2. 「経営改善計画策定支援事業」

ポイントは、国が経営改善を支援してくれることと、補助金がもらえることです。具体的には、経営改善計画を作る際の費用について国が補助してくれます。

今回は2つの制度をそれぞれ説明し、最後に2つの違いについても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

目次

早期経営改善計画と経営改善計画の違い

2つで違うところは「早期」です。ひとことで言うと

「すこし元気がなくなってきたので早めに受診する、あるいは市販薬を飲んでみる」といった予防」が早期経営改善計画策定支援事業

そして

「本当に具合が悪い、最悪の場合入院してでも治療しなければ命が危ない」

という入院・治療」経営改善計画策定支援事業です。

では、まず早期経営改善計画策定支援事業から説明することにします。

早期経営改善計画策定支援事業とは?

中小企業・小規模事業者の経営改善への意識を高め、早期からの対応を促すため、認定支援機関による経営改善計画策定支援事業のスキームを活用し、中小企業・小規模事業者等が基本的な内容の経営改善(早期経営改善計画の策定)に取組むことにより、平常時から資金繰り管理や採算管理が行えるよう支援を行います。

上記は中小企業庁ホームページからの引用です。丁寧な説明ですが、もう少しくだけた表現をすると

「まだ本格的にヤバくはないけれど、すこしヤバいかな?と思っているので、今のうちから立て直す計画を立てたので、よろしくお願いします」

早期経営改善計画策定支援事業は、返済中の融資を条件変更(返済額を減らしたり、利息払いだけにしたりする、いわゆる「リスケ」)するほどではないけれど、資金繰りや採算管理などの改善を中心にした計画を金融機関に提出することで、自分の経営を見直し、早期の経営改善を促す国の施策です。

(上記「よろしくお願いします」は、金融機関への提出を指しています)

計画を作り(策定といいます)、計画をすすめることに対して、事業者が認定支援機関に支払った費用の3分の2、上限20万円を国(正確には公的機関の経営改善支援センター)が負担してくれます。

作成する必要がある計画書類は以下の通りです。

  • ビジネスモデル俯瞰図
  • 資金実績・計画表
  • 損益計画
  • アクションプラン

認定支援機関とは

中小企業・小規模事業者の多様化・複雑化する経営課題に対して事業計画策定支援 等を通じて専門性の高い支援を行うため、税務、金融及び企業の財務に関する専門 的知識(又は同等以上の能力)を有し、これまで経営革新計画の策定等の業務につ いて一定の経験年数を持っているといった機関や人(金融機関、税理士、公認会計 士、弁護士など)を、国が認定支援機関として認定する制度です。
 

経営改善、経営支援をサポートしてくれる「頼れるプロフェッショナル」という表現がわかりやすいと思います。「機関」といっても特別なものではなく、金融機関、コンサルティング会社、税理士、公認会計士などです。 

認定支援機関の支援があると

  1. 経営改善計画策定支援の補助金がもらえる(今回の記事)
  2. 信用保証協会の保証料が減額してもらえる
  3. 日本政策金融公庫や、銀行など金融機関で低利の融資が利用できる

といったメリットもあります。

なお認定支援機関を探すには、税理士などのホームページには認定支援機関であることがが表示されていますし、全国規模で検索できるサイトもあります。

早期経営改善計画策定支援事業のポイント

早期経営改善計画策定支援事業のポイントは以下4つです

<早期経営改善計画策定支援事業のポイント>

  • まだ条件変更(リスケ)は必要としていない計画
  • 1年後に「フォローアップ」で計画の進み具合(進捗)が把握できる
  • 計画を策定することで、状況を客観的に把握できる
  • さらに本格的な経営改善や、再生の支援策を紹介してもらえる

つまり

「今のところ、リスケしてもらわなくても返済はできる。でもここのところ、資金繰りが不安定で、よくわからないが売上が減少しているので、専門家等からアドバイスが欲しいし、できれば継続的にフォローをしてもらいたい」

といった人におすすめです。

そして、何をするにもお金がかかりますが、こうした経営改善にかかる費用の一部を国が支援してくれるのです。

しかし、大事なのはお金をもらうことではなく、経営改善計画の部分です

まとめ~早期経営改善計画策定支援事業のメリット

早期経営改善計画策定支援事業を利用することで、いくつかのメリットが生まれます。

メリット1.自分を客観的に見つめ直せる

計画を作るには現状把握、「何がダメなのか?」を見つめ直すことが欠かせません。日々仕事に忙殺されると、なかなかこうした時間もできず、忙しく働いているのに売上は伸びず事態は悪化するばかり、といった負のスパイラルにおちいりがちです。

早期経営改善計画策定支援事業に取り組むことで、自分を客観的に見つめ直せる機会ができます。

メリット2.金融機関からの見る目が変わる

早期経営改善計画策定支援事業では、原則として取引している金融機関に計画を提出することになっています。計画を提出された金融機関は

  • この会社(個人事業主なら「この人」)は自発的に、かつ前向きに自ら経営改善に取り組もうとしている
  • この会社はプロフェッショナルである認定支援機関とタッグを組んでおり、プロの助言もあるだろうから、信頼できる

といったように、あなたへの見方が変わります。

早期経営改善計画策定支援事業に取り組んでいると、上記したように低利の融資も可能になり銀行としても融資を売り込める点でメリットを感じます。

金融機関からすると、早期経営改善計画策定支援事業にはメリットはあってもデメリットはなく、基本的に歓迎してくれます。

大事なのは経営改善、お金をもらうことではありません

繰り返しになりますが、大事なのは経営改善に取り組むことです。補助金をもらうことではありません。

経営改善に自発的に、早めに取り組むことで自分を見つめ直すことができ、金融機関からの見方も変わり、資金調達でもプラスに作用するかも知れません。

また、認定支援機関という「頼れるプロフェッショナル」とタッグを組むことで経営に関するアドバイスも得られます。

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