このページでは、
- 融資やリスケを銀行に申し込んだら、計画書を出してくれと言われた
という経営者の方に向けて、事業計画書とはそもそも何か、事業資金融資の申込みに有利な事業計画書を書くポイントとは?といった観点で説明したいと思います。ぜひ今後の参考にしてください。
目次
事業計画書とは何か?
端的に言うと、どのような事業を営み、事業はなにをめざしていて、その資金が必要なので融資を受けたい、というように「未来に向けた事業のシナリオ」が事業計画書です。
事業計画書を作らずに融資の申込みをするのは、
「とりあえず貸してください。貸してもらったら、使いみちはあとで考えます」
と言っているようなもの、これでは融資を受けることはできません。
それほど事業計画書は大事で、事業資金調達に不可欠なものです。
融資に有利な事業計画書を書くポイント
その1.計画的である
計画書と銘打つ以上、当然ながら事業計画書は「計画的」でなければいけません。
これは決して言葉遊びではなく、非常に大事な部分です。
事業計画書には正解や教科書的なモノはなく、誰でも自由に作ることができます。
だからというか、なかには抽象的な表現やイメージが先行するモノもあり、これでは計画書とは呼べません。
また、やたらと横文字を使っていたり、比喩表現ばかりを散りばめたりなどで、いったいなにを言いたいのか?わからないようなモノも、ダメです。
融資相談を受ける銀行員は、職業柄数字にこだわる人種なので、事業計画書には計画的要素が不可欠です。
計画的な事業計画書とは?
これは決して高度な話ではなく、いわゆる「5W1H」が盛り込まれているか?ということです。
- 「何を?」
- 「誰が?」
- 「いつまでに?」
- 「どうやって?」
- 「どのくらい?」
これらをひとつずつ説明し、かつ具体的数値を用いて記載されていると、計画的であると見てもらえます。
参考に、計画的な事業計画書の簡単な例をあげます。
<計画的な事業計画書の例(超簡易版)>
「当社は飲食業向け新商品を(何を?)、専門チームを編成して(誰が)、本年より5年間を計画期間と定め(いつまでに?)、広告戦略やマーケティングを駆使して(どうやって?)、5年後の売上を現在の1.5倍に増収させる(どのくらい?)」
その2.謙虚である
計画である以上は積極的で、また前向きであって当然です。
しかし、あまりに理想的すぎる内容では「絵に描いた餅」になってしまいます。
事業資金融資を申込む場面では「銀行に良く見られたいという」という意識が働いて、バラ色の予想や、もはや妄想に近いような右肩上がりの計画を作ってくる人も意外と多いです。
銀行員がこのような事業計画書を見ると、「この人には現実が見えていない」「自分の足元、自分の身の丈がわかっていない人」と判断されてしまう可能性があり、これでは融資を受けることができません。
前向きな要素を含みながらも、自分で自分をわかっている謙虚な姿勢も必要です。
謙虚な事業計画書とは?
これは表現するのがむずかしい問題です。積極的かつ前向きでありながら、謙虚でもあるという相反した要素を、すべて内包していなければいけないからです。
あえて言うならば、たとえば、事業計画書で「試算したカタイ数字を100%とすれば、その数字に自信があったとしても、あえて80%に割引いて考える」といったことでしょう。
これが事業計画書における謙虚の定義です。
一言で言い切ってしまえば、とにかく「固め」に「固め」です。
事業計画書作成を支援するコンサルタントや士業であれば、必ずこのように言う言葉です。
なぜ計画が謙虚でなければならないのか?
「謙虚が必要」というのは、その姿勢に限ったことではなく、もうひとつ理由があります。
それは、事業計画書が毎年銀行からチェックされるからです。
苦労して作った事業計画書を求めてもらい、事業資金融資も受けることができたとします。事業計画書で「2年目の売上は、前年比+20%」としたなら、それは銀行に売上アップを約束(コミット)したことになります。
銀行では提出された計画書により融資した場合、計画書の想定通り進んでいるか?(これを「進捗」といいます)をチェックします。
もしも計画が達成できないと、その後は銀行の姿勢が厳しくなり、最悪の場合は新しい融資を受けにくくなることさえあります。
それとは逆に、売上などが計画通りにすすんでいるなら、業績予想がちゃんとできる経営者だと銀行にアピールできます。
計画の下ブレはNGですが、上ブレは何の問題もありません。だから、自分の予想に自信があっても、あえて低い数字にしておいたほうがいいのです。
とはいえ、なにごともやり過ぎはいけません。謙虚な姿勢は必要でも、あまりに謙虚すぎると事業の将来性に不安を持たれてしまい、マイナスとなる場合もあります。
謙虚すぎるとマイナス?
上記したように、謙虚すぎるあまり計画低空飛行になってもダメです。
それはなぜか? では工場新築を例に考えて見ましょう。
現行の生産ラインをストップして新築する場合では、休業期間は売上がストップするので、計画1年目は売上ダウンもありえます。
とはいえこれは特別なケースで、事業計画書には原則、希望がなくてはいけません。1年目から最終年度まで赤字の計画、あるいは良くても売上が横バイになる事業計画書では「なんのために計画を立てたのか?」となり、銀行から融資を受けることはできないでしょう。
まとめ~独力でムリなら専門家に作ってもらのもアリ
経営革新等支援機関などの専門家に依頼すれば、精緻な計画書を作ってもらえます。勿論、融資の相談にも乗ってくれます。
費用ですが、国が大部分を負担してくれる405事業というものがありますので、もし顧問税理士の先生で対応が難しいのであれば、お近くの経営革新等支援機関を探してみると良いでしょう。
また場合によっては、銀行員が事業計画書作成の手助けをしてくれる場合もあります。銀行は中小企業者を支援するよう、監督官庁から指示されているので、意外と門前払いされずに話を聞いてくれるかも知れませんので、一度は遠慮せず相談してみることをおすすめします。